IQって信用できる?
昨日、双子の兄弟が主人公のコメディ映画を観た。顔は似ていないので一卵性じゃないんだろうけれど、あまりに対照的な二人が最高に面白かった。同じ時間に生まれ、同じ環境で育っても、まったくちがう個性を持っている。もし一卵性だとしても、家族にはわかるちがいはあるはず。
だけど遺伝子を重視する科学者も多く、先天的な性質によって多くが決まると考えている人もいる。それゆえ一卵性の双子は研究対象になりやすい。遺伝子とIQに関する興味深い結果が報告されている。
IQは遺伝子で決まるのか? 生き別れた双子の調査から大きなIQの差を確認!
双子は同じ環境で育つことが多い。だから遺伝子に関する研究を実施する際、環境因子を排除するのが難しい。特定の結果に関して、遺伝子によるものか、環境によるものか判断できないから。
それだけに生き別れになった一卵性の双子が確認できた場合、研究者たちはその機会を生かそうとする。リンク先の記事によると、韓国生まれの一卵性の双子がいた。その一人が幼いころに迷子になり行方不明のまま。ところが保護されていて、アメリカの養父母の元で育ったことがわかった。
ということでその二人の了承を得ることで、同じ環境因子を持たない双子の調査が可能となった。
興味深かったのは共通点。遺伝子の魔法を感じさせるような結果だった。
・良心的で自尊心が高い。
・神経質な性格ではない。
・仕事に対する満足度や精神衛生の高さ。
・過去の病歴。
これらがほぼ一致したらしい。以前に見聞きした事例でも、生き別れになった双子が同じ時期に結婚していて、子供の性別や名前まで同じだったという驚くことがあった。双子のミステリーは奥が深い。
ところが今回の事例では、IQに16ポイントの差があったそう。これは有意性のあるちがいで、IQが環境因子に影響するのではないかという仮説が出されている。この双子だけのことなので、もっと他の双子も調べる必要があるだろう。
だけど遺伝子ファーストの科学者にすれば、納得できない結果なのかもしれない。興味深く読んだ記事なんだけど、ボクにはどうにも引っかかることがある。
そもそもIQって知能の指標として信用できるの?
これは以前から感じていたことだけれど、頭の良さの基準としてIQを使うことに違和感がある。IQテスト自体に科学的な根拠がないという意見もある。所詮は人間が作ったテストなので、ある程度の能力の高さをチェックすることができても、人間の頭の良さを計測できるとは思えない。
頭の良さというのは、ボクのように多少なりとも人間を長くやっていると、知能の高さとの相関関係に疑問を持っている。頭の回転が速いからと言って、その人の頭がいいとは思わない。人間の頭の良さというのは、もっとちがう要素も考慮するべきだと思う。
物事の処理能力の高さも頭の良さを証明するひとつだと思う。だけどそれに勝るとも劣らない要素もある。
他人への共感力の高さ、思いやりの深さ、トラブルに動じない強さ、困難に向き合う勇気、変化を恐れずに受け入れる柔軟性、他人が思いつかないような創造性。例をあげたらキリがないけれど、頭の良さを指標とするなら、これらを無視できないと思う。
だけどIQテストでそれらを計測することは無理。IQに関して日頃からこんなことを考えているから、リンク先の記事に関しては微妙な感想しか持てなかったなぁ。
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