ロシア国営放送の変化が不気味
つい先日、ネットである文書が拡散されていた。中国の元ウクライナ大使の演説をまとめた文章で、中国政府が電光石火でネットから削除したもの。だけど残された文書が出回っていて、ボクもその翻訳の全文を読んだ。
中国政府が削除したのがわかる内容だった。簡潔に言えば、ロシアはウクライナに勝てないという主張。ロシア経済の実態は大国の割には弱小で、戦争が長期にわたると軍事力を支えるだけの資金がない。ところがウクライナはNATOを含めて西側諸国から継続的な支援を受けている。ロシアが勝てる要素などないという内容だった。
ロシアの戦況がかなりヤバい状態なのは、ネットに規制がかかっていない人なら見聞きしているだろう。ところがロシア国内では政府による情報統制が行われているので、その事実を知らない人が多い。ロシアはナチス化したウクライナから人民を救っている、と本気で信じている人が大勢いるらしい。
ところが今月の16日、ロシア国営放送でこれまでにない変化が起きた。複数のメディアで紹介されているので、そのひとつをリンクしておこう。
ウクライナ侵攻での「ロシアの状況は悪化する」 ロシア軍退役大佐が国営テレビで発言
ロシア政府はいまだに『戦争』をしていることを認めていない。圧政に苦しむウクライナの人たちを救うための特別軍事作戦だと言い張っている。そんな嘘を大体的に放送しているのがロシアの国営放送。ネットを使わない高齢者たちは、国営放送が垂れ流している嘘を真実だと思い込んでいる。
ところがその国営放送で、ロシアの現状について現状を語った人物が登場した。軍事アナリストでロシア軍退役大佐のミハイル・ホダレノク氏という人物で、トーク番組の最中にロシア軍の現状がヤバいことになっているのを語ったそう。記事から抜粋してみよう。
ウクライナが欧米から追加の軍事支援を受けると、「(ロシアにとっての)状況は明らかに悪化する」、「ウクライナ軍は100万人を武装化できる」と警告したとのこと。
さらにウクライナ兵士に関して、「祖国を守りたいという思いは非常に強い。戦場での究極の勝利は、守るべき思想のために血を流している兵士たちの高い士気によって決まる」と述べている。戦争を認めた発言であり、かつロシア軍の士気が落ちていることを指摘している。
さらに、
「(ロシアの)軍事的・政治的状況の最大の問題は、どんなに認めたくないとしても、我々が政治的に完全に孤立し、全世界を敵に回している点だ。この状況を解決しなければならない」
「我々に敵対する42カ国の連合が存在し、我々の軍事・政治的な、そして軍事技術的な資源が限られている状況は、正常とは言えない」
という発言をして、スタジオにいた他のゲストは黙ってしまったそう。司会者もいつもと違ってトーンダウンしていたらしく、この動画がネットで拡散されているらしい。それを受けて、これまで沈黙していたロシアの著名人が同様の発言をするようになった。
もしこれがいい意味でのロシアの変化につながるのなら歓迎できる。世論が高まって、プーチンを失脚させる動きになるのならベストだろう。
でもその一方で、どことなく不気味なものを感じる。ロシアが敗色濃厚であることを国営放送が流したのは、もしかしたら意図的なものではと感じてしまう。つまりプーチンが戦争宣言をして総動員令を発令する、あるいは化学兵器や核兵器を使う際、国民の反発を防ぐための布石ではないだろうか、という嫌な予感。
穿った見方かもしれないけれど、ロシアの国営放送が突発的なことでこのような発言を放送するとは思えない。考え過ぎかなぁwww
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