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高羽そらさんインタビュー

終戦で戦争は終わらない

出版社のKADOKAWAさんが運営するブックウォーカーという電子書籍サイトで、今月の前半に戦争に関する特集が組まれていた。戦争関連の書籍を期間限定で無料公開することで、戦争について考えてもらおうという企画。利用者は無料だけど著者には印税が支払われる。

 

ということで無料公開されていた書籍をすべてダウンロード。少しずつだけれど読むことで戦争について自分なりに考えている。まずは過去に原作を読んだことのあるコミック版からトライしている。いよいよ最終巻を読了した。

 

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2022年 読書#53

『戦争は女の顔をしていない3』作画:小梅けいと 原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ というコミック。第2巻の感想は『日本が占領されたらどうする?』という記事に書いているので参照を。

 

原作の著者はノーベル賞作家で、ウクライナ生まれだから現在の世界情勢に心を痛めておられるだろうと思う。この作品は著者が女性たちに戦争体験をインタビューしてまとめられたドキュメント作品。第二次世界大戦のソ連では、女性も兵士として参戦していた。

 

といって男女平等だったわけじゃない。女性として差別されたり、下着や生理用品の調達に苦労されている。なのに敵の前に立てば、命の危険という意味だけに関して男女平等だった。多くの女性兵士が、戦地で命を落としている。

 

第3巻も壮絶な体験ばかりで、心の痛みや涙なしでは読めなかった。今回も入隊を拒否されたのに、何度も交渉して前線に向かった女性たちの戦争体験が描かれていた。漫画という媒体ゆえ、戦地での様子が恐ろしいほどリアルに感じられる。

 

もちろん戦地に行った女性ばかりではなく、夫や息子を戦地に送り出して無事を願ったけれど、愛する人たちを失った人の体験談もあった。もっとも切なかったのは、母親をドイツ兵に拉致された女性の体験談。彼女はパルチザンとして銃を手にしてドイツ兵と戦っていた。

 

ドイツ兵は攻撃を避けるため、拉致した人々を人間の盾にして移動する。だけどパルチザンの兵士としては、命令されたら発砲しなくてはいけない。母の姿を目にした女性は、銃を発砲しながらも母に当たらないことを願うしかなかった。戦争というのは人間をこれほど残酷な運命に遭わせてしまう。

 

中立地帯で暮らす夫婦の妻が産気づいた。夫は軍隊の衛生兵に助けを求める。女性の出産を助けるため、銃弾をかいくぐりながら無事に出産させた女性の体験談も壮絶だった。陣痛で声をあげたらドイツ兵に狙われる。だから出産する女性はどれだけ苦しくても声を出すことができなかった。

 

そしてドイツが降伏して戦争が終わっても、女性たちの戦争は終わらなかった。原作を読んだときにもショックだったけれど、戦争が終われば従軍した女性に対する差別が待っていた。男のように戦地に行ったというだけで、ひどい差別を受けたとのこと。

 

ある女性は戦地で知り合った男性と婚約した。戦争が終わったら結婚してようと決めていて、そのとおり二人は夫婦になった。ところが夫の実家へ挨拶に行くと、考えられないような差別を受けた。息子が戦地に行った女性と結婚したというだけで、男性の姉や妹の結婚話が消えてしまうそう。

 

せっかく祖国のために戦ったのに、感謝されるどころか差別を受けるなんて。だから現在になっても、その女性たちの心の傷は残っている。彼女たちにとってまだ戦争は終わっていないということだろう。

 

さて、第2巻のタイトルになった『もし日本が占領されたどうする?』という問い。これについて考えてみた。自分なりに答えは出ているけれど、もう少し保留しておこうと思う。今回のブックウォーカーの特集でダウンロードした作品をすべて読み終えたら、自分の考えをブログでまとめてみようと思っている。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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