売れるラブコメには理由がある
映画のジャンルとしてラブコメは嫌いじゃない。気楽に観られるので、気分転換にはちょうどいい。ラブコメの女王と言われたキャメロン・ディアスやメグ・ライアンの作品はいまでもたまに観たくなるし、何度観ても面白い。
ロマンティック・コメディとも言われるように、ラブコメは恋愛映画としても楽しめる。だからラブコメ作品で期待できる俳優さんなら、まちがいなく面白いだろうと思って見逃していた作品を観た。そして気がついた。ラブコメだからって、面白いわけじゃないということを。
2022年 映画#72
『バラ色の選択』(原題:For Love or Money)という1993年のアメリカ映画。写真のマイケル・J・フォックスが主演しているラブコメなので、絶対に大丈夫だと思って観た。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の3部作から数年後だし、『摩天楼はバラ色に』というラブコメも最高に面白かったから。
ところがかなり残念な作品だった。マイケルはいつもどおりの雰囲気だし、相手の女優さんもとびきりの美人じゃないけれど、それなりにいい俳優さんだった。なのにストーリーがあまりに雑でひどい。ドタバタ劇が中途半端で、笑いのツボから完全に外れている。
さらに主人公の行動を左右する動機もブレてばかり。どこかで歯車が狂ったままクランクアップした印象で、久しぶりに駄作を見てしまった気分だった。マイケルが演じるダグはニューヨークの一流ホテルの優秀なコンシェルジェ。彼の夢は手に入れた土地に理想のホテルを建てること。
そのスポンサーとして接触したクリスチャンという実業家の愛人は、彼が必死でアプローチしていたアンディという女性だった。どうしてもクリスチャンから資金の融資を受けたいダグは、アンディが弄ばれていることを知りつつも自分の夢を優先させる。
ラブコメなので結果としてハッピーエンドになる。そしてエンディング近くの展開は面白かった。コンシェルジェとして信頼の厚いダグは、大切にしてきた人たちの助けを得て夢を実現させるというラスト。予想できたエンディングだけれど、ここまで持ってくる途中がかなりグダグダだったなぁ。
この作品を観て改めて感じたことがある。メグ・ライアンやトム・ハンクスが共演していたラブコメ作品は、ドタバタが面白いだけじゃない。しっかりと脚本が練られ、物語として完成されている。だから笑えるし、主人公たちの恋に共感できる。当然のことなんだけれど、ヒットするラブコメには理由があるということ。残念な映画だったけれど、改めてヒット作の素晴らしを再認識させてもらえる作品だった。
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