タトゥーの概念を改めるべき時代
ボクが子供のころは自宅に風呂のない家が普通だった。だから当たり前のように銭湯に通っていた。そんなときよく目にしたのが、全身に入れ墨のある男性。
子供ごころにマジで綺麗だと思って、ボクはよく話しかけた。子供相手なので、相手も自慢げに答えてくれる。当然ながらその人は、今ふうに言えば反社会的勢力に属する人であり、わかりやすく言えばヤクザということ。あるいは元はそうだった人たち。
成長するにつれて事情を知り、入れ墨に対する子供のころのイメージは変わってしまった。何となく避けるべきもののように感じ、プール等で目にすることがあっても、見て見ぬふりをするようになった。
だけどいつしかそんなイメージは塗り替えられて、いまのボクには入れ墨というより、タトゥーはファッションのひとつとして認識している。外国人の観光客が大勢訪れるようになり、京都や神戸に住んでいるとよく見かける。夏に半袖で歩いている外国人を見ると、個性的なタトゥーを普通に目にするようになった。
さらに海外の著名人、特にミュージシャンはタトゥー好きな人が多い。美しいバラードを聞かせてくれるエド・シーランは、受ける印象としても真面目な好青年という雰囲気。だけど彼はタトゥーマニアでもあって、上半身のほとんどはタトゥーで埋め尽くされている。
その感覚が普通になってきたので、ボクもタトゥーに関しては以前のような反社会的勢力のイメージとは完全に切り離された。だけどまだまだ世間的にはそうではないらしい。
「タトゥー客お断り」の銭湯、地元J3選手は例外…「特別扱いするのか」と苦情
岐阜県の銭湯に関する記事。岐阜県の多くは「タトゥー客お断り」を表明しているらしい。ただし、あることで反感を買ってしまった。
「タトゥー・入れ墨のある方はご入浴できません。ただしFC岐阜の選手は例外です」という張り紙、
少し前のことらしいけれど、さすがにこれはマズいだろう。サッカー選手だけ特別扱いするという中途半端な対応は、利用者の反感を買うだけ。実際苦情を受けたことで張り紙を剥がした。そしてサッカーチームには、タトゥーのある選手にはできるだけ入浴しないようにお願いしたとのこと。この対応も微妙。
ボクの勝手な想像だけれど、タトゥーに難色を示しているのは年配の人だと思う。入れ墨のイメージが払拭できないので、経営者の立場としても、あるいは利用者の立場としても、タトゥーを排除しようという行動に出てしまうんだと思う。
だけどリンク先の記事でも紹介されているように、タトゥーを入れた入浴者を制限していない奥飛騨温泉郷では、これまで苦情やトラブルが起きたことはないそう。担当者はこう述べている。
「外国人観光客の利用が多いことから、制限を設けていない。それぞれの施設が実情に合わせて対応していくしかないのではないか」
まぁ、基本的にはそういうことだろう。タトゥーに関して制限を設けなくても、それなりに利益を出している施設が増えてきたら、制限撤去に踏み切るところも出てくるはず。要するに顧客の反応次第だということ。
6月になれば、外国人観光客が再び日本へやってくる。いつまでも旧態依然とした感覚にしがみついていると、手遅れになってしまうかも。世界の大勢としてタトゥーが文化だということを、日本人はそろそろ認識する時代になったんだと思う。
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