日本が世界に自慢していいこと
幕末に欧米人が鎖国を解いた日本へ入国したとき、もっとも驚いたのが日本の治安の良さ。時代劇では追い剥ぎや山賊が登場することはある。もちろんそうした連中がいたのは事実。それでも女性が一人で東海道を旅できるなんて、当時の欧米人には信じれなかったそう。
それは江戸幕府によって街道が整備されていただけでなく、各藩が治安維持に力を注いでいたからだと思う。だから『犬のお伊勢参り』のようなことが当然のように行なわれていた。そうした日本の治安の良さは、もしかすると民族性に基づくものかもしれない。なぜなら現代でも欧米人が日本の治安に驚いているから。
「どうして戻ってくる??」海外が驚く日本の落とし物事情 解説動画に反響
最近の日本は治安が悪くなったと嘆いている人がいる。でもそれは誤解で、昭和のころに比べたら凶悪犯罪が大幅に減っているとのこと。メディアやネットの普及によって、以前なら報道されていないような事件が頻繁に取り上げられているだけ。実態として日本の治安が悪くなっているわけじゃない。
そういえばボクが子供のころは、ハイジャックや人質を取って銀行に立て籠るという事件がよくあった。テレビで生中継される事件を見ていた記憶がある。もちろんそれなりに犯罪は起きているけれど、客観的に見ればエグい事件は昔の方が多いように感じる。
リンク先の記事は、落とし物に関するもの。これは以前から言われていることだけれど、外国人が日本にやってきてもっとも驚くことらしい。財布や携帯電話を落としたり、どこかで失くしても、かなりの確率の高さで返ってくる。外国人には信じられない状況らしい。
リンク先の記事によると、『日本では2019年、38億8000万円分の遺失物届が出され、そのうち28億4000万円相当が落とし主の手に戻った』とのこと。なんと7割以上の落とし物が持ち主に戻っている。
そもそも財布を拾って届けること自体、外国人にとって驚くべき行動らしい。その理由としてあげられているのが、日本中に設置された交番。たいていは徒歩圏内に設置されているので、落とし物を気軽に届けることができる。ボクも数年前、女子高生が落とした列車の定期券を交番に届けたことがある。
さらに落とし物を保管する遺失物センターの存在。集中的に保管することで、確実に持ち主の手に届けられるシステムが出来上がっている。リンク先の記事に日本で落とし物をした外国人の感想が掲載されているけれど、誰もが感謝と驚きの声をあげている。強烈な感動の言葉にちょっと笑ってしまうほど。
交番と遺失物センターというのは納得できる理由。だけど落とし物が返ってくるのは、そもそもそうした仕組みを作ろうとした日本人の気質があったからだと思う。他人のものを取ってはいけない、あるいは落とした人の辛さに寄り添うという気持ちは、日本人のDNAに刻み込まれているものだと感じている。
そんな日本人の気質がクローズアップされるのは災害時。阪神・淡路大震災や東北大震災のとき、日本ではあからさまな略奪行為が起きていない。他の国だったら、あっという間に商店の品物が奪われていただろう。日本では略奪どころか、大勢の人が被災者に対して手を差し伸べていた。
現代の日本からは経済大国の面影は消えつつあるけれど、こうした日本人の気質は世界に自慢していいと思う。そしてボクもそんな日本人であることに、言葉にできない誇りを感じている。
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