セルダンの予言成就に興奮
ずっと追いかけているアイザック・アシモフ著の『ファウンデーション』シリーズが、いよいよ面白さを増してきた。関連本を含めると全部で13作品あって、ボクが読了したのは6作品。13作品のなかでメインのシリーズは7作あって、今回ボクが読んだのはそのうちの4作目。ここまで来て、ようやくこの物語の真髄に触れてきたように思う。
2022年 読書#61
『銀河帝国の興亡2」アイザック・アシモフ著という作品。アメリカでは1952年に出版された作品で、正式なタイトルは『ファンデーション対帝国』になる。神戸市の図書館にはそのタイトルの作品がなくて、探し回ったすえに別ヴァージョンで収録されていたこの本を発見した。
とてつもなく広大な世界観を持つ物語なので、全容を説明するのは難しい。13作品のうち7作品を読了した段階でようやく理解できてきたほど。可能な範囲でこの物語の流れを説明してみよう。
忘れてならないのはハリ・セルダンという人物。全銀河を支配していたトランターという帝国が健在な時代に、この帝国の没落を予言する。それは神がかり的な予言ではなく、高等数学を基礎にした心理歴史学というものを創設したことによる。数多くのデータと数学的検証を重ねることで導き出した。
そこでセルダンは人類の未来を託すファウンデーションを、ターミナスという辺境の惑星に創設する。いずれ没落していく帝国に代わって、宇宙をまとめあげていく人類の要となる惑星にするため。さらにセルダンは、派遣された当事者しか知らない第2ファウンデーションという場所も創った。
セルダンは死後も自分の予言が成就するよう、転換点を迎えたときにアドバイスできるようにホログラムの映像を残していた。その転換点は『セルダン危機』と呼ばれていて、ターミナスを統治するファウンデーションの責任者たちは、その都度転換点を無事に乗り越えてきた。そして100年以上の年月をかけて、少しずつファウンデーションは宇宙を支配していく。これが前作までの流れ。
今回は2つの物語に分かれている。最初は『司令官』というタイトル。
トランター帝国はまだ存在していて、クレオン二世が統治していた。そしてリオーズという将軍がファウンデーションの存在を知り、帝国の未来のために滅亡させてしまおうと意図した。それを知ったファウンデーションの住民は、スパイを送り込んで抵抗しようとする。だけどことごとく失敗。
リオーズ将軍はファウンデーションを攻撃しようとした。ところがいきなり反逆者として逮捕されてしまう。これはセルダンの予言どおりの出来事だった。
『銀河帝国が脅威となるのは、強力な指導力を持つ皇帝が在位し、かつ有能な将軍が軍を率いている時のみ』とセルダンは予言していた。クレオン二世は強力な指導力を持っていない。だから放置しておいても、帝国は負けることがわかっていたという結末。
もう一つは『ザ・ミュール』というタイトル。これはかなり面白い物語だった。
先ほどの物語からさらに1世紀ほど経過している。いまやファウンデーションは銀河の大半に支配権を確立していた。ところがミュールという謎の存在が登場する。超能力を持つミュータントで、人間の心を自由に操れる。さすがのセルダンもこのような人物が現れることを、心理歴史学では想定していなかった。
あっという間にミュールは宇宙を支配下に収め、ファウンデーションも完全に陥落する。ここでクローズアップされるのが、どこにあるのかわからない第2ファウンデーション。トランとベイダという若い夫婦がミュールの陰謀をかわし、第2ファウンデーションを見つけようとしていた、それしか勝ち目がないから。
ところが謎の存在だったミュールの存在が明らかになる。これはかなりの大どんでん返しだった。ミュールに第2ファウンデーションの場所を知られることを恐れたベイダは、場所を解明した学者を殺してしまう。正体を表したミュールは、何がなんでも第2ファウンデーションを見つけてやると豪語するところで終わる。
ということでこの続きが1953年に出版された『第二ファウンデーション』という作品。ここまではセルダンの予言が完璧に成就している。さて、この第2ファウンデーションはどこにあって、どのような形でミュールと戦うのだろう。早く続きを読まなくては〜〜!
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