高羽そらさんインタビュー

女性狙撃兵の壮絶な物語

ボクの愛読書に『戦争は女の顔をしていない』という作品がある。ウクライナ生まれのアレクシエーヴィチ・スヴェトラーナという女性が記した真実の記録。著者はその功績が認められてノーベル文学賞を受賞されている。ボクはこの作品だけでなく、日本人の方が描いたこの作品のコミックも読んでいる。

 

1948年の戦後生まれの著者が書き残したのは、ソ連の兵士として参加した女性たちの証言。第二次世界大戦において、女性が兵士として前線に立っていたのはソ連だけだろう。その事実だけでも驚きだけれど、そんな女性兵士たちのなかには優秀な狙撃兵もいたことに言葉が出なかった。

 

その作品は実話だけれど、その世界観が完璧に描かれた小説を読んだ。著者は日本人の男性。今年の本屋大賞を受賞した作品で、最高に面白い作品だった。内容が内容だけに、面白いという言葉は適当じゃないかもしれない。でもよく練られた人物相関、ストーリーの構成、そして徹底的に細部にこだわった文章に感銘して、最高に面白いという言葉しか出てこなかった。そしてラスト近くのクライマックスでは、本気で泣いてしまった。

 

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2022年 読書#74

『同志少女よ敵を撃て』逢坂冬馬 著という小説。日本人なのに、なぜここまでソ連を舞台とした小説が書けるのだろう? その答えは巻末を見てわかった。ずらっと並べられた参考図書を見ていると、著者の並々ならぬ努力を想像できる。納得の本屋大賞作品だと思う。

 

主人公はセラフィマという1924年生まれの女性。第二次世界大戦が始まったころ、セラフィマは小さな村で猟師の母を手伝っていた。それゆえ幼いころから銃を手にして猟に出ていた。貧しい村にとって農作物を守ることは欠かせない。それで作物を荒らす動物を狩るだけでなく、村人たちに貴重な食糧等を確保するために銃を手にしていた。

 

ある日、ナチスのドイツ兵が村にやってきた。セラフィマと母は猟に出ていて、帰ってきたときは村人が皆殺しにされているところだった。男性は銃殺され、セラフィマの友人やその母親は、男性兵士にレイプされた末に惨殺されていた。

 

母はその蛮行を止めようとして銃を構えるけれど、人間を撃つことができなかった。その隙をつかれて、ドイツの狙撃兵に銃殺されてしまう。捕まったセラフィマもレイプされそうになったとき、イリーナという女性兵士が率いる赤軍部隊が村にやってきた。

 

あっという間にドイツ兵を制圧すると、セラフィマを保護した。彼女の母を殺した狙撃兵は逃げられてしまったが。でもここからがすごい。イリーナはセラフィマに「戦いたいか、死にたいか」を尋ねる。つまり兵士として戦う気がないなら、この場で村人たちと一緒に殺してやるとのこと。そしてセラフィマの母の遺体を足蹴にした。

 

怒り狂ったセラフィマは生きて戦うと宣言する。母を撃ったドイツ兵、そしてその母の遺体を侮辱したイリーナを殺して復讐するために。そのイリーナは伝説的な女性狙撃兵だった。だけど怪我をしたことで、教官としての道を選んだ。その結果、セラフィマはイリーナが教官をしている狙撃兵の養成所に属する。

 

この養成所で戦友たちとの出会いがある。そしてセラフィマの狙撃兵としての潜在能力も開花していく。そしていよいよ実戦へ。

 

ネタバレはここまで。まだ新しい作品なので、これから読む人が多いだろうからね。とにかく最後までページを繰る手を止められない。登場人物たちが無駄なく配置されているので、戦時下の兵士たちを待ち構える緊張感が最後の最後まで作品全体に浸透していた。

 

現在のウクライナ問題を彷彿とさせる人物も登場する。オルガという名前で、最初はセラフィマと同じ訓練生だと思っていた。ところが彼女の正体はソ連の秘密警察。でもウクライナの出身で、ソ連に対して忠誠を誓っているわけではなかった。

 

ラストまで読めば、鬼教官であるイリーナの本当の気持ちがわかる。さてセラフィマは母の復讐を成し遂げることができるのか? そしてイリーナを殺すのだろうか? 

 

フィクションだけれど、『戦争は女の顔をしていない』という本を読んだことがある人なら、実話のように感じる作品だと思う。まるでドキュメントのように書かれているから。今年になって、ボクが読んだ小説の最高作品だと思う。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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