禁止されるとやりたくなる
不思議なもので、人間はダメだと言われたことをやりたくなる生き物。ボクが中学生のころにタバコを吸い始めたのは、禁止されていることをやってみたいという思春期の衝動がすべて。だから成人になったらタバコなんてすぐにやめた。
ただ禁止されているものはそれぞれに理由がある。特に怖いのは薬物。中学生のとき、不良仲間のシンナー遊びに付き合ったことがある。ボクはシンナーの匂いが大嫌いなのでやる気はなかった。だけどシンナーを吸うと人間がどうなるのかという好奇心に抗えずに傍観することにした。
あれはマジやばい。人の少ない山でやっているのを観察していたけれど、幻覚を見た友人が暴走した。「ウルトラマンが飛んでる!」と叫んで崖に突っ込んでいく。正気のボクがいなかったら、大怪我をしていただろう。その友人だってシンナーが好きだというわけじゃなく、ダメだと言われるからやってみたかったのだろう。
最近のインドでは、こんなヤバいことをやっている人がいるそう。
インドの10代の若者に、コンドームを煮詰めた煮汁を飲むというのが流行しているそう。なんでもフレーバー付きのコンドームがいいらしい。リンク先の記事によれば、このコンドームを6時間から8時間煮込むと、エチレングリコールという物質が出てくるそう。これがハイになる理由ではと推測されている。
シンナーと同じような効果がある。つまりそれほど危険だということ。長期的には骨や腎臓、聴覚、最悪の場合は脳にダメージを与える。そういえばシンナーの常連者の歯が、老人のようにボロボロになっているというのを聞いたことがある。
これだってダメだとわかっていてやっているのだろう。ハイになりたいという現実逃避と、抑圧に抵抗したいという若者特有の症状だと思う。こうしたものは法律による規制が難しい。購入したコンドームをどう使おうが勝手だと言われたら終わり。
だったら多少は弊害の少ないものを合法化しようという動きもある。わかりやすいところでは大麻。ヨーロッパやアメリカでは、医療用だけでなく嗜好用の大麻でさえ解禁されるところが増えてきた。
そんななか、大麻に厳しかったスイスでも新しい動きが起きている。
今月の1日、スイスでも他の欧州諸国に追随して医療用大麻が完全に合法化された。これは医療的な意味だけでなく、経済的なことも考慮された結果だろう。いまや大麻ビジネスは経済を大きく動かしている。この流れに乗り遅れないよう、医療用大麻の輸出までスイス政府は考慮した結果だと思う。
ボクは大麻信者ではないけれど、日本も医療用大麻は合法化していくべきだと思う。大勢の人の苦痛を和らげるのに必要だから。ビジネスとしてもその価値は見逃せない。でも嗜好用の大麻については複雑な問題がある。
現状では法律によって裁かれてしまう。それゆえ裏世界のビジネスとして大麻が流通している。さらに禁止されているから、あえて破ってみたいという不思議な感情が働く。だったら合法化したらどうなるだろう?
一定数の人たちはリラックスや現実逃避のアイテムとして、大麻と共存していくだろうと思う。ボクだって合法化されたら経験してみたい。だけどタバコと同じで、合法化されたらもういいやと思う人も必ずいる。そういう人たちは、もっと危険な薬物に手を伸ばすかもしれない。
そう思うと安易な合法化も難しい。大麻程度のグレーな薬物を禁止対象にしておいて、ゆるく取り締まっていくのがちょうどいいように思うことがある。でないともっとヤバい薬物が反社会集団ビジネスの主流になってしまうから。とにかく人間の心理は複雑だよなぁ。
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