「仮放免者」って嫌な言葉
なんとなく実態として知っていたけれど、ある人たちを指す言葉を具体的に知って嫌な気分になった。
それは『仮放免者』というもの。この状態の人たちのことを書いた記事を読んで、なんとも言えない複雑な気持ちになった。
「母国は日本。それ以外あり得ない」夢を閉ざされ、家族との別離を恐れて生きる“仮放免”の子どもたち
「仮放免者」というのは、特定の状況にある外国人を指す言葉。リンク先の記事から抜粋してみよう。
『非正規滞在のために入管施設に収容されたが、病気などの理由で一時的に収容停止となり、身柄の拘束を仮に解かれている外国人たちを指す。
仮放免者は日本政府から帰国するべきとされているが、出身国で迫害を受けるなど多くは様々な事情を抱え帰国できない人たちだ。
就労を認められず、健康保険にも加入できないことから、生活困窮や健康状態の悪化といった問題が生じている』
これはかなり複雑な問題。どの立場で見るかによって、意見がちがってくるだろうと思う。
日本は移民や難民に対して厳しい姿勢を見せている。受け入れをしていないわけじゃないけれど、実際に認定されるまでのハードルはかなり高い。超高齢化社会となった日本にとって、移民による若い世代の人口増加が必要なのは事実。
ただヨーロッパ等の状況を見ていると、移民が増えたことによるトラブルは根深いものがある。イギリスがEUから脱退したのも、その背景には移民問題が影響を与えている。だから日本のように移民のハードルを上げることで、治安の悪化を防ごうとする政府の意図は理解できる。
だけど難民のような状況の人たちの立場で見れば、もう少し政府は柔軟な対応を取って欲しい。祖国に帰りたくてもミャンマーやウクライナのような状態では無理だろう。簡単にはいかないだろうけれど、「仮放免者」という宙ぶらりんの状態では気の毒過ぎると思う。
何より問題となっているのは、リンク先の記事でも指摘されているように子供たちのこと。両親が「仮放免者」であって、日本滞在中に生まれた子供たちがいる。あるいは物心のつかない年齢で日本の暮らしを始めている子供たちがいる。
「仮放免者」のうち未成年が、日本全国で300人ほどいるそう。見た目は外国人であっても、その子供たちにとって日本は祖国だと感じている。なのに日本人として暮らせないし、さまざまな制約を受ける。
リンク先の記事を読んだ範囲の感想だけれど、とりあえず学校には通っているみたい。その点、「無戸籍」の日本の子供より恵まれているかも。ただ大学進学や就職に関しては、「仮放免者」だということで思うようにならない。自分が望む未来に向かって努力することさえできないとのこと。
そのうえ両親たちの状況によっては、いつ日本を追い出されるかわからない。健康保険にも加入できないから、病気になっても医者にかかれないということが起きている。そんな辛い立場が「仮放免者」という言葉に象徴されていて、嫌なネーミングだなぁと感じてしまった。
どうすればいいのか答えはわからない。でも同じ人間として日本に暮らしている人たちなんだから、もう少し政治的な配慮があってもいいのではないかと思う。
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