ジワジワ感がオタクには嬉しい
壮大な世界を描くドラマが、一気に展開するのはもったいない。そういう意味では、今月にスタートしたこのドラマは、いい雰囲気で物語が進んでいる。
ジワジワと核心に迫っていく雰囲気が、この世界観のオタクであるボクにはたまらない。もっと時間をかけてもいいと思う。おそらくこのシリーズのファンは同じことを感じているだろうと思う。
2022年 映画#151
『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』(原題: The Lord of the Rings: The Rings of Power)シーズン1・エピソード5『分岐点』という2022年の作品。
シーズン1は全部で8話の予定、つまりこの作品で半分以上経過したのに、まだ諸悪の根源であるサウロンは姿を見せない。もし別のキャラに化けているのならわからないけれど。それゆえまだ本格的な戦いは始まっていない。
紆余曲折があったけれど、エルフのガラドリエル率いる人間との合同軍は、ようやく中つ国の南方国へ向かって出航した。もちろんエレンディルとイシルドゥアという人間の王となる親子も同船。
南方国のシルヴァン・エルフであるアロンディルも、エルフの塔に立てこもってオークの軍団と戦う姿勢を見せている。人間の半数はオーク軍に投降したけれど、戦わなければ地獄が待っていると考える人間たちは残った。アロンディルと愛し合っているブロンウィンと息子のテオも残っている。テオが見つけた不思議な器具は、魔が人間を支配するためのものだとアロンディルは見抜く。
そしてホビットの祖先であるハーフットはひたすら旅を続けていた。ただいつもの森がおかしい。やはり魔の影響を受けて荒廃している。オオカミたちが跋扈していて、ハーフットたちに襲いかかった。その危機を救ったのがハーフットのノーリーという少女が助けた謎の人物。
彼が地面を叩くと、不思議な振動が起きてオオカミたちは逃げ去った。風貌を見ていると魔法使いのガンダルフ風なんだけれど正体が不明。善の存在か、魔の手先なのかまだわからない。ということでジワジワと物語が進行中。今日配信されているエピソード6では、物語が進展しているかもしれない。
さてこのドラマに関して、外国を中心に悲しい出来事が起きている。それは人種差別的な発言。
先ほど紹介したシルヴァン・エルフのアロンディルは、イスマエル・クルス・コルドバというプエトリコ出身の俳優が演じている。とてもカッコいい人で、ボクが一押しのキャラ。ただ有色人種である彼がエルフを演じることに関して、物語の世界観に合わないという声が出ている。
エルフは白人であって、黒人等の有色人種が演じるのはおかしいという意見。そんなことボクは考えたことがなかったので、こんな声が出ることが不思議でならなかった。そこである記事を読んで、何が起きているのか理解した。
ロード・オブ・ザ・リング「黒人のエルフ」が炎上…「世界観が違う」「ポリコレをねじ込むな」批判は本当に「原作リスペクト」なのか
結論から言えば、この騒動は人種差別をやりたい人間が起こしているということ。物語の世界観に合わないというのは勝手な理由で、白人至上主義を押し付けているだけ。エルフにもいくつか種族のちがいがあり、ノルドールとシルヴァン・エルフに大別できる。
ノルドールについては作者のトールキンが設定として「色白」だと述べている。これだけで白人だと限定するのは行き過ぎ。色白は人種ではなく、比較として色が白いと述べているに過ぎない。さらにシルヴァン・エルフについては何も設定されておらず、有色人種であっても物語の世界観にまったく影響ない。
エルフ=美しい=白人という、人種差別者が好むような等式を勝手に振りかざしているだけ。だから世界観が違うということで、アロンディルのキャラを非難するのは適切ではないということ。日本人のトールキンオタクとしては、不快感しか覚えない騒動。まぁ、物語が進行すればそんな馬鹿野郎の発言は取り上げられなくなるだろうけれどね。
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