下着ブランドを改心させた歌手
ボクの趣味と言っていいのは、これから大ブレイクしそうな洋楽の新人を見つけること。見事ブレイクを果たしたビリー・アイリッシュやオリヴィア・ロドリゴたちもデビュー直後から目をつけていた。
ここ2年くらいで注目しているのは日本人のリナ・サワヤマを初め、グリフ、メイジー・ピーターズ、ゲイル、ローレン・スペンサー・スミス、ミミ・ウェッブというシンガーソングライターたち。それぞれに活躍していて、いずれグラミー賞に名を連ねてくる歌手たちだと思う。
あれ? 女性ミュージシャンばっかりやんwww 男性ミュージシャンもチェックしているけれど、好きになるアーティストはブレイク後の人が多い。まぁ異性に目がいくのは仕方ないよね。
そして最近になって目をつけたシンガーソングライターがいる。今月になって彼女の新曲が常に脳内再生されている。そのミュージシャンはJaxという26歳の女性。『アメリカン・アイドル』というオーディション番組で決勝まで残った実力者。
だけど18歳で喉頭癌になってしまい、しばらく声を出せなかった。それでひたすら曲を書いてきた。そしていよいよ声が出せるようになって、昨年あたりかTikTokを発信源として新曲を発表している。
その努力が実って、ついにビルボードにランクインした。なんと今週のランキングでは新曲が50位という大躍進。とにかく元気で明るい女性で、彼女のTikTokがめちゃ面白い。ビルボードにランクインしたときのTikTokが最高だった。
Jaxがパソコンの画面を開いていて、彼女の母が横にいる。「ビルボードって知ってる?」とJax。頷いた母に、そのランキングの画面を見せた。その直後、母親が大興奮してカメラに顔を向けると、「この子はわたしの娘よ〜〜!」と大絶叫していた。本当に明るい親子。
その新曲は『Victoria’s Secret』というタイトル。軽快なサビが耳に残る名曲で、歌詞がとてもユニーク。体型を気にして摂食障害になるような女性に向けた歌詞で、自分らしくいればいいという内容。こんな歌詞が出てくる。
『細身で大きな胸の女性たちを売りにして、私たちのような自分の体型に不安を持つ女の子の気持ちにつけこんでいるんだよ。ヴィクトリアの秘密はね、男性によって作り上げられた存在だということ』
ただ気になったのはヴィクトリア? これって誰かを指すの? それで調べてみると、ようやくその意味がわかった。
「太りすぎだと言われているような気分」人気下着ブランドを批判した楽曲にCEOが反応
先月の記事だけれど、Jaxの新曲が取り上げられていた。ヴィクトリアの意味は、下着ブランドの「ヴィクトリア・シークレット」だった。欧米では有名なブランドらしく、一時期は女性の憧れの対象だったらしい。
だけど発想が旧態依然としていて、痩せたモデルを使った押し付けのブランドイメージを発信していた。反感を持っていた女性は多かったそう。Jaxがこのブランドを批判した曲を書こうと思ったのは、チェルシーという少女の体験談を耳にしたから。
Jaxはベビーシッターをしていて、面倒を見ているのがチェルシーという女の子。TikTokにもよく登場している可愛い子。そのチェルシーが「ヴィクトリア・シークレット」の店舗に行った。ところが店員の対応が最悪だった。
「太くてくびれがないように見える」と言われて泣いてしまうほどショックを受けたらしい。Jaxもチェルシーと同じ年代の時にそんな経験をしていて、痩せなければいけないと思い込んで摂食障害になったそう。もしそのときにこんな曲があれば救われたと思い、『Victoria’s Secret』という曲を書いたとのこと。
この曲がTikTokを中心にバズったことで、ついに「ヴィクトリア・シークレット」が動いた。「画一的な美を助長している」という批判的な声が寄せられ、現在はリブランディングを進めているそう。
さらにこの会社のCEOが、Jaxに対してメッセージを送った。
「私を含め、多くの人が共感する曲」であると記し、「重要な課題を取り上げてくれたことに感謝します。過去の過ちに、言い訳はしません。また、再び信頼してもらえるように努力をしています。すべての人の存在が反映されているようなコミュニティを作ることに尽力しています」と伝えたそう。
すごいよね。Jaxの書いた曲が企業を改心させたなんて。ということでこの曲を紹介しよう。歌詞がわかるほうがいいと思ったので、英語と日本語が書かれている動画を選んだ。本当にいい曲だなぁ。
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