再婚が決まったけど……
シリーズ作品の小説を読んでいると、つい登場人物が知り合いのような気持ちになってくる。だから彼らの人生がこの先どうなるのか、幸せに暮らせるのだろうかと本気で心配していることがある。
今日のブログのタイトルは、まさにそんなボクの心のつぶやき。妻と死別した主人公の心の傷が癒え、ようやく再婚しそうになった。なのに、その小説の作家はとんでもないことを用意していた。
2022年 読書#88
『かわたれどき』畠中恵 著という小説。支配町の困りごとを解決する町名主の跡取り息子が主人公の『まんまこと』シリーズの第7弾。2007年に出版された第1弾から追いかけてきて、ようやく2019年に出版されたこの作品まで追いついてきた。
主人公の名前は高橋麻之助。町名主の跡取りで、怠け者だと支配町の住人からは噂されている人物。だけど実は頭が切れて、難問題を次々と解決している。一度お寿々という女性と結婚したけれど、出産の際に妻も子供も亡くなってしまった。前回分くらいから、ようやく前向きになって再婚しようかという雰囲気になっている。
町名主という仕事柄、いつまでも独身では無理。いずれ父のあとを継ぐとなると、どうしても嫁取りが必要。ということで今回はいよいよ待望の再婚が実現しそうになった。ところがちょっと予想外の展開になってしまった。
今回も6つの短編によって、連続ドラマのような構成になっている
『きみならずして』
『まちがい探し』
『麻之助が捕まった』
『はたらきもの』
『娘四人』
『かわたれどき』
という6つの作品、
このシリーズが好きな人と語り合いたいけれど、このブログで説明するのは難しい。興味がない人にはどうでもいいことだからね。
そこで再婚問題だけに触れておこう。以前はおこ乃という女性が候補だった。亡くなったお寿々の親戚で、瓜二つの女性だった。だけど似ていることで麻之助としてはかえって辛い。結局はその女性は武家に嫁ぐことになった。
もっとも有力候補はお雪という女性。麻之助とは年齢が離れているけれど、とても頭のいい女性。麻之助が解決できなかった問題を、彼女の助けで解決したことが何度もある。つまり町名主の妻としてこれ以上の女性はいない。
だけど「おじさん」だと拒否されたことで、麻之助はお雪が嫁に来てくれるとは思わなかった。ところがお雪の本音がこの作品で少しずつ明らかになってくる。「おじさん」と揶揄したのは、麻之助のことを好いているから。お雪の親友の一葉という女性は、彼女の気持ちを知ってどうにかしてやりたいと思っていた。
『娘四人』という作品で麻之助の縁談話が起き、お雪が焦るという場面があった。それは『かわたれどき』という作品にも引き継がれていく。ただし、この物語で大事件が起きた。
水害が起きて、お雪は流されてしまった。九死に一生を得たが、直近の記憶を無くしてしまった。つまり麻之助のことをまったく覚えていない。一緒に事件を解決した記憶もない。だから初対面と同じ状態になってしまった。
そんなとき、麻之助は縁談の答えを迫られる。悩んだ末に縁談を断る。だけどその理由として、別の相手がいることを伝える必要が出た。そこで麻之助はお雪を妻にしたいと正式に申し入れた。自分のことを覚えていないというのに。
今回はそこで終わり。う〜ん、どうなるんだろう。ということで次は2021年に出版されたこのシリーズの最新刊となる。こうなったらこの再婚の行方が気になって眠れない。最新刊なので図書館の時間待ちがあるだろうけれど、なんとか手に入れなければ。麻之助とお雪がうまくいくことを、思わず神社で祈ってしまいそうやわwww
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