人間の本性が露骨になる時
ネットを見ても、テレビを見ていても、台風14号に関する特別警報が次々と出されている。台風が来るのは避けられないけれど、大きな被害が出ないことを祈るしかない。これから台風が近づく地域も、できる範囲で対策を立てておかないとね。
たまたま紹介しようと思っていた曲のタイトルが『Hurricane』なのでビックリ。セカンドアルバムをリリースしたばかりのリナ・サワヤマが、昨日になって新たなミュージックビデオを公開した。台風繋がりで不謹慎かもしれないけれど、素敵な曲なのでリンクしておこう。
さて、自然災害は本当に恐ろしい。その恐怖がリアルに描かれた映画を観た。
2022年 映画#143
『グリーンランド -地球最後の2日間-』(原題:Greenland)という2020年のアメリカ映画。彗星が地球に近づいてきて、破片が次々と落下してくる。たった一発でフロリダでは40万人が亡くなるという規模。
そして地球生物の75%以上を死滅させるという彗星本体が落下するまで48時間。その瞬間までをある一家の視線で描いたディザスタームービー。主人公はジョンという高層ビルの建築士で、ジェラエルド・バトラーが演じている。
CGもよくできているし、地球が壊滅状態になるまでの過程も緊迫感のあるストーリーで構成されていた。この映画のテーマは、人間が生きるか死ぬかという状態に追い込まれたとき、どのような本性を見せるかということだと思う。だからこれまでの同様の映画に比べて、その部分が強調されていたように思う。
この映画のような状況になると、すべての人間を救うことはできない。だから非情ながらも、アメリカ政府は特定の家族にだけシェルターに避難できるという通知を送る。送られてきたQRコードを持つ家族しか、シェルターに移動する航空機に乗れない。
ジョンにもその通知が送られてくる。夫婦関係がうまくいっていないが、近所の友人を集めてパーティーをしているときだった。もちろん通知が届いたのはジョンたちだけ。ここで最初に人間の本性が露骨に出てくる。選ばれなかった家族は、ジョンの家族に理不尽だと非難の声を浴びせる。
やがて被害が発生し始めると、今度は自分の子供だけでもいいから連れて行ってくれと懇願する。もちろん連れて行けない。そうなるとさらにひどい罵声を浴びさせられる。
もちろんジョン夫婦が品行方正というわけじゃない。彼らだって緊迫した状況で利己的になる。主人公たちなのに、不快感を覚えるほど利己的な行動に走らせるのは、追い詰められた人間の本性を描くためだろう。
街ではシェルターに入れない人の略奪が起き、人を平気で殺す連中も出てくる。ジョンたちはどうにかして指定された基地まで到着するが、最終的に息子の糖尿病によってシェルター行きを拒否される。
そこからが大変。妻と子供とはぐれたジョンは、妻の元へ向かう途中に強盗に襲われて、心ならずも人を殺してしまう。妻と子供は親切な夫婦に助けられたけれど、彼女たちが選ばれた人間だと知ったとたん、証明書を奪おうとして子供を誘拐された。とにかく生き残るためにはなんでもする。
その一方で、こんな状況で愛ある行動を見せる人も大勢いた。善に関しても、人間の本性が見事に描かれている。比較的新しい作品なので、ネタバレはやめておこう。とにかく家族を守るために全力を尽くすという、ジェラルド・バトラーの素晴らしい演技を堪能できる作品だった。
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