匂いで病気がわかる女性
ボクは十代のころから近視で、中年以降はそれに老眼が加わった。今年の春に新しいメガネを作ったときも、やはり近視が進んでいた。乱視が治っていたという不思議な現象もあったけれど。聴覚に関しても人並みで、特別に耳がいいというわけじゃない。
ところが嗅覚はかなり敏感。妻に言わせたら「犬並み」の嗅覚らしい。まぁ、犬には余裕で負けるけれど、確かに微細な匂いを嗅ぎ分けることができるように思う。臭いというのはその場所の証明書のようなもので、普段から通っている場所なら、目隠しをされても匂いでどこにいるか当てる自信がある。
そんなボクだから、二十代のころに父親の会社で働いているときは大変だった。消防設備点検が仕事なので、あらゆる場所に日替わりで行く。京都なので呉服会社が多いけれど、同じ呉服でも会社によって微妙に匂いがちがう。旅館やホテルも、それぞれの場所で特有の香りがある。
マンションなどは匂いの巣窟で、部屋ごとに感じる匂いが異なる。最悪なのは独身男性が暮らす企業の寮。点検の最中に息を止めていないとヤバい部屋がいくつも待ち構えているからねwww
ある医科大学では、解剖実習用の献体がいくつも並んでいる部屋に入ったこともある。冷凍庫から出されてしばらく経っているので、やはり死臭がする。それを消すために甘い香りの物質が部屋に流されていて、それらが混ざり合った匂いは言葉で言い表せないほど強烈だった。
なかでも苦手だったのが病院。アルコール等の消毒液の匂いは好きなので苦にならない。だけど病室によって特有の匂いがある。もしかしたら病気の種類によって発する匂いが違うのでは? そんなボクの感覚は正しかったのかもしれない。
脅威の嗅覚を持つ女性、その能力が新たな病気の診断法につながる
イギリス在住のジョイ・ミルンさんは脅威の嗅覚を持っているそう。おそらくボクの嗅覚をはるかに超越していると思われる。なぜなら病気の匂いを嗅ぎ分けることができるから。
ジョイさんは看護師で、夫は医師だった。高校生のときに出会い、初めて一緒にダンスをしたときに心地よい香りを感じたとのこと。ところが結婚して夫が30代になったとき、夫から「ムッとする嫌な酵母のようなニオイ」を感じるようになった。
そのころから夫がやたらイライラするようになり、45歳のときにパーキンソン病だとわかった。やがてパーキンソン病を支援するグループの会合に参加したとき、夫と同じ匂いを感じた。そこで夫にその話をすることで、医師である彼は本気で行動した。
その結果、エディンバラ大学やマンチェスター大学の研究者グループの研究が進み、ジョイさんは95%の確率で匂いからパーキンソン病を診断することができるようになった。皮脂に含まれる化学物質の変化によって、その匂いが発生するらしい。
パーキンソン病の明確な診断方法がない現在、彼女の能力は注目されている。夫が亡くなった後も、ガンや結核等の匂いを嗅ぎ分ける研究に協力されているそう。AI等を使ってこの成果を応用すれば、新しい病気の診断法が確立するかもしれない。ボクの嗅覚も鍛えたら、異変を感じることができるかな?
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