感動は理屈じゃないらしい
まったく意味不明で訳のわからない映画を観た。原作小説がある作品なのにつかみどころがない。映画用に変更されているらしいが、それにしても物語の内容も演技する俳優たちもぶっ飛んでる。なのに観終わって涙が出るほど感動してしまった。自分でもその理由がわからないwww
2022年 映画#173
『パーティーで女の子に話しかけるには』(原題:How to Talk to Girls at Parties)という2017年のアメリカ・イギリス合作映画。エル・ファニングが主演していることでチョイスした作品。でも映画が始まったとたんに異様な世界観にとまどった。
映画の舞台は1977年のロンドン。ボクが15歳のころだから、映画の主人公たちとは同世代。高校生のエン、ヴィク、そしてジョンはパンクロック好きの友人たち。パンクロックのライブ会場に忍び込んでは、パンクロックの同人誌を作って楽しんでいた。
そんな3人が不思議な音楽を聞きつけ、ある家で行われたいたパーティーへ潜入する。とても不思議な仮装をした男女たちばかりで、ネタバレをすると彼らは宇宙人だった。48時間後に地球を去ることになっていて、出発前にこの種族に伝わる儀式を行おうとしていた。
その儀式が普通じゃない。それは子供を食べるというもの。この時点で意味不明。宇宙人たちは緩やかな滅亡を自覚していて、そのために未来の若者を食べてしまうことが神聖な儀式として伝承されてきたという設定。
そのパーティー会場で、エンはザンという美少女と出会う。ザンも出発と共に食べられる運命だった。エンと出会ったザンはパンクロックに興味を持ち、地球にいられる48時間のあいだにパンクを体験したいと願った。仲間からはルール違反だと指摘されても、それを無視してエンと共に館を抜け出した。
二人は恋仲になり、肉体関係を持つ。だけどザンの運命を知ったエンは、館の連中が集団自殺を計画しているカルト集団だと考える。まさか宇宙人とは思いもしない。そこでパンク仲間に応援を頼んで、ザンを助けるために館に乗り込んでいく。
パンクロッカーたちと宇宙人との対決は最高に笑えた。特にロッカーを率いているボディーシーアという女性が最高。なんとニコール・キッドマンが演じていて、かなりのキワモノ役でめちゃ笑わせてもらえた。
とにかく色々とやり取りがあり、宇宙人たちは子供を食べるという儀式を廃止することを検討した。その決定を左右するのはなんとザンだった。エンとの子供を妊娠したことで、発言権を有することになったから。でも子供を産まないと廃止の賛成票を入れられない。
エンと暮らすために地球へ残れば、子供を産むことができない。つまり子供を食べる儀式が存続するかもしれない。ザンは葛藤したすえ、エンとの子供を産むために地球を離れることを決意する。
そして15年後の1992年。エンはザンと過ごした48時間を小説にして出版した。その本のサイン会を開いていると、大勢の若いパンクロッカーが列に並んだ。同じような服装をしていて、よく見るとザンの種族のマークを着けている。
名前を聞いてサインをしていると、そのなかに自分と同じエンという名前の青年がいた。それだけで、彼の子供だとわかる。ザンは地球を離れ子供を産んだ。そして若者たちが食べられないことに賛成したのだろう。そのお礼のために若者たちがエンに会いにきたというラストだった。
訳の分からない映画だと思いつつ、このシーンを見て涙があふれてきた。ぶっ飛んだザンがはしゃぐ姿や笑顔か思い浮かび、なぜだか心の中をぐちゃぐちゃにかき回されたような気がした。本当に不思議な物語で、感動というのは理屈じゃないことを改めて教えてもらえた作品だった。
とにもかくにも、エル・ファニングの演技はかなり見もの。どこか変な雰囲気の宇宙人という役がぴったり。そしてとてもキュート。さらにパンクロックを演奏するシーンでは、完全にパンクしてぶっ飛んでいた。姉のダコタも素晴らしいけれど、妹のエルはすでに女優として姉を超えていると思う。まだ現在でも24歳だからね。これからがマジで楽しみな女優だと思う。
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