待ち遠しい紫式部の大河ドラマ
毎朝5時に起きて4冊の本を少しずつ読んでいる。そのなかに2度目となる『源氏物語』がある。過去に通読した経験がなかったので、今年になって電子書籍で読んでみることにした。与謝野晶子さんの現代語訳で、慣れないせいか読みづらい。
どうにか最後まで読んだけれど、馴染めない文体、登場人物の多さ、そして男性は昇進に伴って呼称が変わり、女性は本名がないので通称で呼ばれるので、人物の相関関係が理解できなかった。
ところが不思議なもので、2回目はまったく印象がちがう。おおよその物語の展開を理解したせいか、読み込めば読み込むほど与謝野晶子さんの文体が心地いい。じっくりとイメージを重ねて読み進めることで、ボクはすっかりこの物語の大ファンになってしまった。
まだ2回目は『明石』の部分なので、全体の4分の1くらい。それでも人間関係は理解できるし、何より驚くのは著者である紫式部の観察眼の鋭さ。登場人物の心象が周囲の風景を通じて見事に描かれている。繊細だと思うのは光の使い方。特に『月』の明かりを細かく描くことで、登場人物の心象風景がリアルに投影されている。本当にすごい作家だと思う。
そんな紫式部が2024年の大河ドラマの主役に決定している。どのようなドラマになるのかわからないけれど、作家としての紫式部のことをもっと知りたいと思っていたので、いまから待ち遠しくて仕方ない。人間的に、なかなかユニークな女性だったらしい
2024年の大河ドラマで紫式部を演じるのは吉高由里子さん。彼女をイメージするだけで、いい意味で個性的な主人公になりそうな予感がする。紫式部は『紫式部日記』という書物を残していて、普段の姿を少しは知ることができるそう。
リンク先の記事によると、紫式部は結婚して子供ももうけた。だけど夫が急死したことで未亡人となり、藤原道長の娘である中宮彰子の女房として宮中で仕えていた。ボクはあまり詳しくないけれど、道長と恋愛関係にあったらしい。このあたりはドラマでも登場するのだろう。
とにかく現代のOLのような雰囲気で、職場の不満を日記にタラタラと書いている。リンク先の記事にもいくつか紹介されていて、仕事が嫌でたまらないというのが伝わってくる。
さらに同僚に対する悪口も辛辣。紫式部は人前に出るのが嫌だったそうで、女房の仕事でもそれが苦痛だったよう。でも仕事なので手は抜かない。それだけに同僚の女房たちの仕事に関して、かなり厳しいダメ出しをしている。
『ほかのところの女房たちはそんな仕事の仕方、してないはず。もともとの身分がどんなに高い方でも、いちど女房として仕事を始めたからには、郷に入っては郷に従えなのに! こちらの皆様はお姫様気分のままみたい』
あはは、これだけでも笑えてくる。こうして悪口を言いながらも、人物観察を続けて作品に活かしてきたのだろう。まだ再来年のことなので鬼が笑いそうだけれど、早くこのドラマを観たい。その前に来年の徳川家康を楽しんでからね。
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