肥満者への不満は差別?
SNSで発言する場合に注意するべきなのは、批判や不満と差別や中傷の境界線を意識すること。事実に関する批判や不満の表明は、決して差別や中傷ではない。ただ言葉の使い方や受け手の文化によっては、誹謗中傷だと受け取られてしまうこともある。この塩梅がなかなか難しい。
もし自分がこの立場になったらどうするだろう、という微妙な体験が書かれた記事を読んだ。
飛行機の両隣に肥満の2人! 「悪夢の状況」をツイートしたら大炎上…これって差別なの?
リンク先の事例は、客観的には笑ってしまうケース。タイトルでわかるように、アメリカ人の著者が飛行機の座席で肥満の2人にサンドイッチとなった体験。著者は作家であり政治評論家でもあるらしい。
窓に面した3人席でのこと。窓側に肥満の女性が座り、その隣りが著者。そして通路側にも肥満の男性が座っていた。まさにサンドイッチ。そのときの状況がどれだけ大変だったかを記事から抜粋してみよう。
『2人の間にわずかに残るスペースに、なんとか体をねじ込んだ。両隣とは嫌でも体が触れ合う。2人の体が私の席にはみ出しているから、背もたれを使えず、不自然に前かがみになる。脚は閉じて、2人の間に押し込む感じになる。腕は動かせず、肘掛けも使えず、テーブルを出すこともできない。前の乗客が背もたれを倒したので、私のスペースはさらに狭くなった』
これはキツいwww この状態で3時間半のフライトだったそう。この2人は兄妹だったらしく、男性に向かって席を替わりましょうかと言ってみたそう。この地獄から抜け出すために、あえて親切心を強調することで移動してもらおうとしたから。だけど男性は拒否。それで3時間半の地獄が決定した。
ボクもアメリカに行ったとき感じたけれど、アメリカ人の肥満は半端ない。だからこの状況を想像するだけで、息苦しくなってくる。記事の著者は耐えきれずにTwitterでこの状況をぼやいてしまった。
ところがこのツイートが炎上。差別発言だとして攻撃を受けたらしい。「ばかにしている」とか、「偏見だ」「心が狭い」「脂肪恐怖症」など、さまざまな言葉が飛んできたらしい。アメリカン航空の対応も冷ややかだった。「当社のお客様には、いろいろな体格の方がいらっしゃいます」と著者のツイートに対してリプライしてきたそう。
ところが数日後になって、150ドル分のフライトクレジットを送りたいとメールをしてきた。まぁ冷静に考えて、かなり辛い状況だったということを認めたのかもしれない。アメリカやヨーロッパでは肥満の人が多い。だから「肥満は普通のこと」という意識が根付いているらしい。
それゆえ肥満を批判するような投稿は炎上する。だけど「肥満=不健康」というのは厳然たる医学的事実。記事の著者はそのことを伝えたかっただけ。もちろん理解している人は大勢いて、著者に同情するリプライを返した人も多かったそう。
この事例に関して言えば、批判と中傷の境界線はわかりづらい。ボクは不満を吐き出したくなった著者の気持ちもわかる。ただ他人の容姿をネットに投稿することは、事実がどうであれ好ましいとは言えないだろう。つまり不快で苦痛だけれど、この状況にひたすら耐えるしかないということかもね。
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