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高羽そらさんインタビュー

とても奥の深いゾンビ映画

疲れた時の気分転換にちょうどいいのがゾンビ映画。意味なく襲いかかってくるゾンビをひたすら退治するという作品がほとんどで、観終わって人生観が変わるようなこともないし、感動で涙することもない。ただなんとなく怖がってドキドキして、それでスッキリするという作品。

 

要するにテーマパークのアトラクションのようなもので、毒にも薬にもならないのがゾンビ映画だと思う。テレビゲームで『バイオハザード』の人気があるのも、ひたすらゾンビやラスボスと対決することで爽快感が得られるからだろう。

 

そんな感覚でチョイスしたゾンビ映画。ところがいつもとちがう。とても奥の深いテーマを扱っていて、予定調和で終わらないという内容。それだけに辛い結末なんだけれど、製作者の深い意図を感じさせてもらえる良作だった。

 

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2022年 映画#191

『ゾンビ・リミット』(原題:Retornados)という2013年のスペイン・カナダ合作映画。タイトルで一般的なゾンビ映画だと思って観た。たしかにゾンビは出てくるけれど、さほど多くない。ちょっと気持ち悪いシーンがある程度で、中学生くらいなら余裕で観られる内容だった。

 

この映画の世界観が普通とちがう。1980年代の過去において、ゾンビウイルスが蔓延した。他のゾンビ映画を同じく感染者に噛まれることでゾンビになってしまう。主人公のケイトも幼いころに両親が感染して、ゾンビになった父親を射殺。変身する直前の母親も自分を撃つように言ったが、それができずにその場を逃げたという悲しい経験を持っている。

 

そんなケイトは成人して医者になった。担当しているのは「リターンド」と呼ばれている患者。実はソンビウイルスのワクチンが開発されていた。感染してもそのワクチンを打てば、ソンビになることを抑制できる。ただし1日に1度はワクチン接種が必要だった。

 

ケイトが同棲しているアレックスは「リターンド」だった。二人が出会ったのは病院だったから。二人は愛し合って平和に暮らしていたけれど、ケイトはある不安に苛まれていた。それはワクチンの絶対量が不足していること。世界には1億人の「リターンド」がいる。その人たちが毎日ワクチンを打たなければいけない。

 

ケイトは薬剤師に裏金を渡すことで、アレックスのために余分のワクチンを確保していた。もう一つ困ったのは、世界中で起きている「リターンド」対する抗議の渦。非感染者はウイルスに怯え、多額の税金を「リターンド」に投入することが許せない。だから彼らを隔離して、健常者と別にするべきという激しい運動が起きていた。

 

過激な人たちは、「リターンド」を殺せとまで言っている。実際に「リターンド」のリストが闇で流れていて、ケイトとアレックスはもう少しで殺されるところだった。この段階でボクはこの映画の深さを強烈に感じた。

 

「リターンド」は被差別対象。これはゾンビという設定を使っているだけで、今世界で起きている差別問題を象徴していると思う。人種差別、LGBT問題だって、「リターンド」に置き換えることができる。コロナに関しても感染者差別というものが現実として起きていた。

 

そう思ってこの映画を観ていると、マイノリティーであることの恐怖がじわじわと忍び寄ってくる。他人と違うことで命を狙われたり、自殺してしまう人がいる。この映画はゾンビを題材として使うことで、世界に蔓延している差別意識を浮き彫りにしているんだと思う。実に奥が深い。

 

もう一つの怖さは、カミングアウトに関するもの。ネタバレになるので書かないけれど、自分が「リターンド」であることをカミングアウトすることの悲劇が描かれている。たった1本のワクチンがなかったことで、主人公たちに悲劇が襲いかかる。その原因はカミングアウトだった。

 

とても切ないけれど、見応えのあるゾンビ映画だった。だけど邦題は大失敗。この映画の良さを伝えたいなら、あまりゾンビということを強調しない方がいいと思う。それだけで敬遠されてしまうからね。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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