狂気は伝染するのかも
クリスマスや正月といっても、毎年我が家では妻と適当に過ごしている。だから12月になってもさほど年末感を覚えることがない。だけどボクの場合、今年はどことなく年末感をひしひしと実感している。
その理由は神戸市の図書館が今月の29日から来年の1月末まで使えなくなるから。少し前のブログで書いたように、大幅なシステム変更に伴って約1ヶ月間ほど本の貸出が停止される。その対応として今月の15日から貸出期間は2月まで伸びて、貸出限度も普段の10冊から20冊に増やされる。
読書中毒のボクとしては、本がないと禁断症状が出てしまう。それゆえ来年の1月に本の供給が絶たれないように計画を練っている。それで今日も図書館に寄ってきたし、図書館の扉を出た途端に予約枠を埋めるためにスマートフォンですぐ予約を入れた。次に借りる本から延長対象とするため。
そんな図書館の年末気分に浸っているせいか、今年は珍しくクリスマスケーキの予約をした。めちゃくちゃ美味しいお気に入りのケーキ屋さんがある。去年は気がついたらクリスマスケーキの予約が売り切れとなっていた。今年も24日はすでに完売。ということで今日は別の日で予約を済ませてきた。
そんな調子なので、手元にある本もピッチを上げて読んでいる。久しぶりにホラーらしい怖い作品を読んだ。
2022年 読書#115
『スケルトン・クルー2 神々のワード・プロセッサ』スティーブン・キング著という小説。『スケルトン・クルー』というタイトルの短編集が出版されている。日本では3つに分冊されていて、先日に続いてその第2弾を読んだ。キングらしいゾッとする小説が並ぶ短編集だった。
『パラノイドの唄』1985年
『神々のワードプロセッサ』1983年
『オットー伯父さんのトラック』1983年
『ジョウント』1981年
『しなやかな銃弾のバラード』1984年
『猿とシンバル』1980年
という6作が収録されている。楽しく読めたのは『神々のワードプロセッサ』という作品。売れない作家が主人公で、本来は結婚するはずだった女性は兄に奪われてしまった。主人公が結婚した女性は最悪で、生まれた息子も父親を馬鹿にしている。
ある日、兄一家が交通事故で死亡した。大好きな甥っ子は、主人公のために自作のワープロを残してくれていた。そのワープロが不思議で、文字で書いたことが現実に起こる。結果は想像できるように、今の妻と息子の存在が世界から消され、甥っ子と兄の妻を自分の妻と息子に変えてしまったという物語。
気味悪かったのは『猿とシンバル』という作品。主人公は幼いころに亡くなった父が残していた猿のオモチャを見つける。その猿がシンバルを叩くと誰かが死ぬ。怖くなった主人公はその猿のオモチャを井戸に捨ててしまう。
彼が妻と二人の息子を連れて、久しぶりに少年時代に過ごした家にやってきた。そこに捨てたはずの猿が置いてあった。その猿のせいでこれまでベビーシッター、主人公の友人と兄の友人、主人公の母、そして叔父と叔母まで亡くなっている。2度とシンパルを鳴らせないよう、今度こそ捨ててしまという内容。オチがとても面白かった。
そして最高に怖かったのが『しなやかな銃弾のバラード』という物語。ある作家がそのタイトルの小説を書いた。その作家は完全に心を病んでいて、言動が明らかにおかしい。担当した編集者はその様子に困惑しながらも、作品が素晴らしいので書籍にしようとした。
ところがやがて著者の狂気が編集者に伝染してしまう。このあたりの描写はリアルで恐ろしい、少しずつ狂っていく編集者の様子に寒気がした。最終的に作家は妻を殺そうとしたが、失敗して自殺してしまう。編集者も自殺まで追い込まれたが、急死に一生をえて助かるという内容。
狂気の種はどんな人間にも存在しているのかもしれない。だから本物の狂気に触れたとき、隠れていた狂気が目覚めるのかも。そんなことを感じさせる。とても恐ろしい物語だった。さて、今日もどんどん次の本を読んでいくぞ。
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