映画にして欲しかった場面
神戸市図書館のシステム変更による貸出期間延長期限が近づいてきた。ピッチを上げていかないと期限切れになりそうなので、隙間時間を見つけては読み進めている。もちろん『指輪物語』のシリーズ。
2023年 読書#7
『新版 指輪物語4 旅の仲間 下2』J・R・R・トールキン著という小説。前作についての感想は『腹をくくった時期の違い』という記事に書いているので参照を。
この作品で映画3部作の第1弾として公開された部分が終わる。モリアの坑道を出たフロドたちは、ガラドリエルが暮らすロスロリアンの森でしばしの休息を取る。そしてその森を離れ、いよいよ悪の巣窟であるモルドールへと向かう。
ちなみにこのガラドリエルは、昨年にAmazonプライムで公開されたドラマの主人公。映画も観ているボクは、ケイト・ブランシェットの美しくも恐ろしいガラドリエルだけでなく、モーフィッド・クラークが演じた若いガラドリエルの姿も浮かぶ。どちらにしても美人なのは間違いない。
いつもと同じく映画と原作の大きな違いを記しておこう。ガンダルフがモリアの坑内でバルログという怪物を死闘を繰り広げ、谷底に落ちていく場面はほぼ同じ。セリフまで一緒だった。ここで一旦、ガンダルフはお休み。物語上は死んだことになっている。ある意味そうなんだけれど。
大きくちがうのはロスロリアンの森に入る場面。映画のフロドたちは侵入者的な扱いを受けて、連行されるような状況だった。でも原作ではエルロンドから連絡が入っていて、どちらかといえば迎えに来てくれたという設定。だけど一つだけ問題があった。それはドワーフのギムリの扱い。
エルフとドワーフは『シルマリルの物語』で語られている過去の因縁がある。それゆえロスロリアンのエルフは、ドワーフであるギムリを入れたくない。少なくとも目隠しをしていくのが条件だった。これは映画では無視されている。そこでフロドたちはどうしたか?
この場面がとても素敵。アラゴルンの提案で、ギムリだけに目隠しをするのは仲間として許容できない。だから全員で目隠しをしようと提案した。エルフのレゴラスは抵抗したが、結局は8人全員が目隠しをして森に案内される。仲間の団結を見せる素晴らしい場面なのに、映画でカットされたのが残念だった。
もうひとつ大きな違いはゴラムの扱い。映画ではモリアの坑内でフロドはゴラムの存在に気づき、ガンダルフに相談している。でも原作では存在を匂わしているだけで、ゴラムについて語られたのはロスロリアンの森を出てから。もちろんフロドが相談したのはガンダルフではなく、サムとアラゴルンだった。
ということで『旅の仲間』はこの第4作目で終わり。次からは『二つの塔』になる。『旅の仲間』のラストは映画とほぼ同じで、ボロミアが指輪の誘惑に負けたことでフロドは一人でモルドールに向かう決心をする。だけどサムはそんな主人を見捨てない。彼だけがフロドの決意に気づいて二人でモルドールを目指していく。
映画ではオークの攻撃でボロミアが殺され、メリーとピピンはオークに連れ去られる。指輪を持っているのがホビットだと知らされていたから。そしてメリーとピピンを救うため、アラゴルン、レゴラス、ギムリはオークを追いかける。でも原作ではこの場面について語られず、『二つの塔』の最初で登場する。
さて、今夜も少しピッチを上げて次の作品を楽しもう。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。