ストーカー規制法の限界
博多で起きた女性刺殺事件。恐ろしさと同時に、法律の限界を感じてやるせなくなった。これまで同じような事件が起き、その度に法律が見直されてきた。だけど今回のケースを見ていると、ストーカー規制法は限界に達しているとしか思えない。どうすればいいんだろう?
福岡 博多 女性刺殺 被害者は「緊急通報装置」所持も使われず
この事件に関しては多くのメディアが報道しているけれど、代表的なNHKの記事をリンクしておく。この記事だけでなく他にも報道されている内容を見た。それでおおよその流れを知った。そのうえで結果として感じたのは法律の限界。
福岡県警は適切な対応をしていたと会見している。現状の法律においてはそのとおりだと思う。被害者の訴えを受けて、容疑者にはストーカー規制法による「禁止命令」が出ている。正式に出されたもので、容疑者もその行為を認めている。
それでも容疑者がアクションを起こしたことで、被害者には「緊急通報装置」が警察から貸与された。この装置をボクは初めて知った。GPSが搭載されていて、緊急時にボタンを押すと警備会社を通じて110番通報される。それで最寄りの警察官が駆けつけるというもの。
さらに警察としては、被害者の自宅周辺のパトロール強化を10日間も実施した。現状の法律においてこれが限界。別のメディアによると、福岡だけで1400件を超えるストーカー被害の訴えが出ている。それらのすべてに対応しようと思えば、警察官がどれだけいても無理。
そして過去の事例として、「禁止命令」を出すことでストーカー行為が終息することがほとんどだったらしい。だから加害者から1ヶ月以上アクションがないことを確認すると、警察としては警備体制を緩めるしかない。その全てに対応している時間も人員もないから。
今回の事件は、そんな隙間に起きた。もしかしたら警察のストーカー対策を知った上での犯行かもしれない。被害者はバッグに「緊急通報装置」を持っていた。だけどいきなり刺されたら、通報している余裕などない。
今回の事件を受けて、再びストーカー規制法の見直しが進むのだろうか? といってもこれ以上できることはない気がする。別のメディアで、この事件に関して警察の元幹部が被害を防ぐ方法を述べていた。
「禁止命令」が出た段階で、ストーカーにGPSを携帯させるというもの。アメリカの性犯罪者が釈放されたとき、常に居場所がわかるようにGPS装置の装着が義務付けられる州がある。それと同じようなもの。確かにそうすれば、被害を少しでも減らせるかもしれない。
だけど肉体にチップでも埋め込まない限り、常時携帯させるのは難しい。そもそも人権問題にも影響してくるので、ストーカー行為というだけでGPS装着を強制するのは現在の法律では無理。つまり打つ手がないということ。
こうなったらストーカー行為を受けている人が自衛するしかない。催涙スプレーやスタンガンが必要になるかも。それだって使い方を熟知しないと、とっさのときに意味がない。今回の事件の被害者も「緊急通報装置」に触れることさえできなかったんだから。
こんなことを考えていると、アメリカで銃規制が進まない理由がわかるような気がする。警察が頼りにならないなら、武器を手にしようと考えるだろう。とにかくやりきれない気持ちになる事件だよなぁ。
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