うっかりが怖いデジタル社会
20代の時に転職した税理士事務所でのこと。唯一の男性だった先輩職員は、コンピュータに触れようともしない。気になって尋ねたところ、他の女性職員が教えてくれた。過去にコンピュータで顧客のデータを入力していたとき、うっかりミスで顧客データをすべて消去してしまったそう。それ以来トラウマとなって、コンピュータ恐怖症になってしまったとのこと。
アナログ的なものなら、一発で消えることはない。デジタルの怖さは、実行してしまった行動を取り消せないこと。そういえば『マイ・インターン』という映画でも一発の怖さが演出されていた。アン・ハサウェイ演じるアパレル企業の社長が、ストレス解消で母親に対する罵詈雑言をメールに書いていた。
だけど仕事が立て込んできたとき、うっかりとそのメールを配信してしまう。それで大騒ぎになって母親のパソコンからメールを消去しようというエピソード。映画だから笑えるけれど、実際にその立場になったらパニックになってしまうだろうと思う。
今月の11日、アメリカの航空システムでトラブルが発生した。サイバーテロとの噂もあったけれど、原因はうっかりミスだったらしい。
システム不具合によりアメリカ全土のフライトが一時欠航になった原因は「請負業者によるファイル削除」との結論
そのトラブルはかなりヤバかった。『アメリカ航空宇宙局(FAA)はシステムがダウンしたことに伴って21時ごろからアメリカ全土のすべての航空機に離陸停止措置を命じました。措置は約2時間後の22時50分には解除されましたが、フライトの遅延や欠航の総数は1月12日までに合計1万便以上となり、国内線を利用する乗客200万人以上に影響が及びました』というような状況。
トラブルの原因は潜在的な危険をパイロットに警告するNOTAMシステムの異常。このシステムは天候や火山活動、空域制限などの状況変化や、パラシュート、ロケット打ち上げ、軍事演習などの異常事態の情報、加えて着氷、照明の故障、鳥の群れなど、空域や空港での異常事態をパイロットに知らせるものらしい。
そりゃFAAは離陸を停止させるよね。911テロの経験があるアメリカにとって、空の安全を維持する重要なシステムだから。そして調査された結果はテロではなく、うっかりミスだったことは判明した。
FAAは「航空安全規制当局で働く請負業者が、NOTAMシステムで使用されているコンピューターファイルを意図せずに削除し、その結果航空交通の混乱につながりました」と発表している。
この請負業者の担当者は大変だろうなぁ。もしかしたらクビになっているかも。意図してないとはいえ、おそらく削除する前に警告が出ていたはず。最近のコンピュータシステムの場合、削除の確認は何度も出るようになっているだろうから。まぁ、だからうっかりミスなんだけれどね。
いまの時代、デジタル機器に触れるときはうっかりミスに注意することが必須。何も考えずに反応してしまうと、貴重なデータを消してしまったり、誹謗中傷のツイートを拡散してしまったり、コンピュターウイルスに感染したり、ネット詐欺に引っかかってしまったりするから。
うっかりミスは、注意散漫によって起きることがほとんど。体調がイマイチだったり、悩み事があったりすると集中力を欠いてしまう。ぼんやりしてデジタル機器を操作してしまうと、後から尻拭いに奔走することになってしまう。ある程度の緊張感をキープすることが必要な時代なんだろうなぁ。
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