ロシア社会は戦争を止められない
今日から2月を迎えて、真っ先に頭に浮かんだのはロシアによるウクライナ侵攻。月末には戦争が始まって1年になる。
ウクライナの想定外の抵抗によって、ロシア政府は苦境に陥っている。国際社会から締め出され、経済は崩壊寸前。さらに西側諸国はウクライナに軍事援助を継続していて、先日にはドイツ製の戦車導入が決定した。
だけどロシア社会から戦争を止めるという声が聞こえない。それどころか先日の報道によると、19歳のロシア人女性が戦争反対を訴えたところ、スパイ容疑で拘束されてしまった。どれだけ国民が戦争にうんざりしていても、ロシア社会は戦争を止められない。そのことが理解できる記事を読んだ。
リンク先の記事でインタビューに答えているのは、ロシアの社会学者であるレフ・グドゥコフ氏。彼は政権に批判的な姿勢を変えることなく、世論調査や分析を続けてきた独立系の世論調査機関「レバダセンター」で所長を務めてきた人物とのこと。
この記事から、ロシア社会の現状が想像できる。世論アンケートによると、戦争を継続するべきという意見は、昨年8月の48%から12月には40%に減少している。その一方で停戦交渉をするべきという意見が50%に達した。
昨年の9月にプーチン大統領が兵士の動員を宣言したことで、戦争を停止したいという声が増えたそう。さらに上流から中流階級を中心として、国外へ脱出する人が増えている。それは西側の経済制裁を実感している人たちで、ロシアの経済は何十年分も後退しつつあるという状況だから。
ところがロシアは貧困層の人たちが多数を占めていて、西側諸国の経済制裁を感じるどころではない。戦争以前から貧しい生活を送っているから。だから経済制裁によって反戦意識を抱くのは、富裕層限定になっているそう。
グドゥコフ氏はロシアが民主主義国家でないことを明言している。強硬な検閲制度が導入されたことで、戦争開始から260以上の出版物、ネットのポータルサイト、ラジオ局、テレビ局等が閉鎖に追い込まれている。つまり正確な事実を伝えない国営テレビからしか情報を得られない。
グドゥコフ氏は結論として、ロシア社会はプーチン大統領に戦争をやめるように働きかけることはできないと明言している。なぜならロシアには「人々の意見を表明できる仕組みがないから」とのこと。最初に書いた19歳の女性のように、政権を批判すれば刑務所行きとなってしまうだけ。
もしロシア国民が戦争を止めるとすれば、以下の方法しかないのかしれない。
ロシアでクーデター起きる可能性も、プーチン氏の元スピーチライターが指摘
昨日のCNNの記事。プーチン大統領の元スピーチライターだった政治アナリストによると、ロシアに軍事クーデターが起きる可能性が出てきたとのこと。
「ロシア経済は悪化し、戦争には敗れ、兵士は次々に遺体となって帰国する。国民はますますつらい目に遭い、なぜこんなことになっているのかと、政治の仕組みをみて説明を探そうとする。そして、ロシアが旧態依然の暴君、独裁者に統治されているからだという答えにたどり着くだろう」と述べている。
これから雪が溶ける春に向けて、戦争が激化する可能性がある。もしロシア社会がその蛮行を止めるとしたら、軍事クーデターしかないのかもしれない。しばらくはロシア情勢から目が離せないと思う。
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