大泥棒の心変わりはいつ?
ボクは泥棒を主人公にした物語が大好き。アニメでは『ルパン三世』がその代表だし、映画だと『オーシャンズ』シリーズがそう。犯罪には違いないけれど、主人公に感情移入をしているので応援してしまう。
過去の作品でも同じテーマを扱った作品がある。たまたま観た作品が、まさに天才泥棒を主人公にした物語だった。
2023年 映画#24
『ホット・ロック』(原題:The Hot Rock)という1972年のアメリカ映画。若いロバート・レッドフォードを観たくてチョイスした作品。多少はツッコミどころがあるけれど、この時代にしてはテンポ感もよくで楽しい映画だった。もう少しコメディ色を強くしたら、さらに面白い作品になったと思う。
ロバート・レッドフォードが演じるのはドートマンダーという天才的な大泥棒。刑務所から出所してすぐ、妹の夫と次の仕事にかかる。それはアフリカの某国大使からの依頼だった。
「サハラの石」というダイヤモンドがある。その国の石だと主張しているけれど、国際社会は認めてくれない。それで盗んでくれたら報酬を出すというもの。最初は渋っていたドートマンダーも、条件を聞いてその仕事をうけた。
集まった仲間は合計で4人。10万ドルの報酬なので、一人当たり2万5千ドルづつとなる。意外にもスムーズに計画がはかどり、宝石を手に入れることができた。ところが逃げる寸前に義弟がミスった。アランという爆発物の専門家が逮捕されてしまう。なんと彼はダイヤを持っていた。
逮捕される直前にアランはダイヤを飲み込んだ。それで次の作戦は刑務所からアランを脱獄させること。それも苦労の末に成功したが、アランはダイヤを持っていない。すでに便意を催していて、警察の留置場にダイヤを隠したとのこと。
これまた留置場に潜入する計画が実行される。このあたりは完全にコメディの世界で、ヘリコプターで警察署に襲いかかって留置場を制覇する。ところがアランが隠した場所を探してもダイヤがない。
ダイヤを盗んだのは、アランの弁護を担当していた父親だった。ということであの手この手で父親を誘い出し、ようやくダイヤを盗んだことを白状させた。そして貸金庫の鍵も手に入れた。でもここで再びトラブルが。
貸金庫は本人の署名も必要だし、顔も覚えられている。八方塞がりになったドートマンダーをクビにしたアフリカの大使は、アランの父親と交渉してダイヤを手に入れることにした。そこでドートマンダーはある秘策を決行する。
貸金庫に出入りするため、ドートマンダー名義の貸金庫を申し込む。さらに担当している銀行員に催眠術をかけることで、アランの父親の金庫を開けさせようという奇策。これがまんまと成功して、アフリカの大使とアランの父親が銀行にやってくる直前に、ドートマンダーと仲間たちはダイヤを手にするというラスト。
アフリカ大使の報酬より、闇で売り捌くほうが遥かに儲かる。つまりハッピーエンドという終わりだった。ここで気になるのは、ドートマンダーがいつ心変わりしたのか? ということ。
映画の途中で仲間から、大使に渡すよりも盗んだダイヤを売り飛ばす方が金になると言われたドートマンダー。そのとき彼は「状況による」と答えている。だから大使に渡さないという選択肢も存在していた。
もし最初に盗んだときからそのつもりだとしたら、かなりやり手の泥棒だということになる。苦境に陥ったように見せかけて、最初からダイヤを自分たちの手にするという場面が挿入されていたら、もっと凄い作品になったと思う。そんな仕掛けを入れて欲しかったなぁ。
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