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高羽そらさんインタビュー

悲惨な歴史の後世への伝え方

「◯◯の日」という語呂合わせのものを含めて、1年のうちに多くの記念日がある。日本人が記念日好きなのかと思うけれど、外国由来のものも多い。つまり人間は記念日が好きなのだろう。まぁ楽しいことなら、いくつあってもいいと思う。

 

ただ悲しいこと、悲惨な出来事を回帰する日も多い。大震災や台風等の自然災害、尼崎で起きたような大きな列車事故、オウム真理教が起こしたテロ等、それらの出来事が起きた日になると、関係者が集まって追悼される。その最たるものが太平洋戦争に関するもの。

 

その度に口にされるのが、「この悲惨な出来事を後世に伝えていかなければいけない」という言葉。その想いはわかるし、伝えることの意義も理解できる。それは同じ過ちを繰り返さないということがあるから。でも感覚として、そうした日が増え続けていくだけのように思えてしまう。

 

なぜなら次々に新しい出来事が起きるから。そうなってくると、追悼のための集会をいつまで続けるのかという問いが出てきても不思議じゃない。人類が存続する限り永遠に続けるのだろうか? もしそうなら応仁の乱や、蛤御門の変も追悼の会を実施するべき。いや、飛鳥時代の壬申の乱だって同じ。

 

ボクが言いたいのは、追悼集会をやめるべきということじゃない。二度と同じことを繰り返さないということが究極的な目的ならば、後世に伝える方法をもっと考えてもいいんじゃないかと思っている。

 

と言ってどうすればベストなのか分からない。特定の出来事に関して実際に経験した人が亡くなってしまえば、文章や映像で残したものを伝えていくしかないのかも。だけど時代も変われば、世界情勢だって刻々と変化している。そうなると、これまでの『伝え方』でいいのかという疑問を持ってしまう。

 

なぜこんなことを考えているかといえば、『適切な伝え方』がボクには見えないから。だけどある本を読み通して感じたことがある。『適切な伝え方』が分からなくても、『不適切な伝え方』は存在すると思った。

 

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2023年 読書#35

『はだしのゲン 第4巻 真っすぐ伸びよ青い麦の巻』中沢啓治 著という漫画。昨年に無料でダウンロードできる期間があったので、第1巻から4巻までを読んだ。すでに第3巻までの感想を書いたけれど、読む気持ちがなかなか起きなくて時間がかかってしまった。

 

子供のころに読んだことがある。そして読み直すと、覚えている場面がいくつもあった。子供にとってもそれほど強烈な印象を与える内容だから。この作品に関して様々な議論がされているのは知っている。それをわかったうえで、できるだけ客観的な視点で読んだつもり。

 

それでもボクに子供がいたら、この作品は読ませたくない。それがボクの結論。

 

なぜならここには『怒り』が満ちているから。戦争が悲惨なことは理解できる。だけど『怒り』を前面に押し出すことでその悲惨さを伝えるのは、今の子供に誤解させることになると思う。

 

詳しくは書かないが、特定の層への怒りがこの物語を貫いている。もちろん戦争を引き起こした要因であったり、戦争によって起きた出来事なのはわかる。だけどそれが全てじゃないし、違う捉え方もできる。現代においてもウクライナでの戦争は様々な立場の見方がある。

 

だけど特定の人間に対する『怒り』にフォーカスした伝え方は、新たな『憎しみ』を生み出すだけだと思う。そして読む人間から別の視点を考慮する余地を奪ってしまう。それほど『怒り』は強烈な感情だから。子供の時以来に読んだ作品だけれど、ボクは二度と読まないだろう。

 

『怒りに』突き動かされることなく、客観的な視点で悲惨な歴史の『適切な伝え方』を考えてみたいと思う。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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