辛い過去の精算に必要なもの
大きな寒冷前線の影響で、昨夜から本降りの雨となった神戸。今日のお昼前後にはかなりの大雨だったので、これでソメイヨシノはほぼ散ってしまったかも。そんな今日の荒天を予想していたので、昨日外出したときに今年最後の桜を撮影しておいた。
JR六甲道駅の南側にある芝生広場の桜。ここの桜だけ少し遅めの開花だったようで、昨日でもまだこんな美しい姿を見ることができた。だけど今日の大雨と風で散ってしまっただろうなぁ。明日の買い物のときに確かめてみよう。
だけどまだこれから美しい花を見せてくれる植物もいる。
買い物ルートの街路樹として植えられているハナミズキ。この花は今日の雨でも散らずに頑張っているだろう。昨日にはウグイスの今年の初鳴きを聴いたし、帰ってきてくれたツバメにも会えた。いよいよ春も本格的になってきたね。
さて、またまた大泣きする映画を観た。もちろん感動の涙。どんな人にも辛い過去がある。だけど前に進むためには、自分なりにその過去を精算する必要がある。そんな辛い過去の精算のため、奔走する人たちを描いた感動作だった。
2023年 映画#58
『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』(原題:The Last Full Measure)という2019年のアメリカ映画。ウィリアム・H・ピッツェンバーガーという実在の空軍兵士に関わる物語。脚色をしてあるだろうけれど、実話に基づいて作られた作品。
映画の舞台は1998年のアメリカ。主人公のハフマンは国防総省のエリート官僚。出世のために努力してきたことで、順調に昇進の階段を登ってきた。ある日現在の国防長官が辞任するということで、大きな異動が実施されることになった。そんなハフマンの最後の仕事として任されたのが、ピッツェンバーガーに名誉勲章を与えるかどうかを判定する仕事。
このパターンの映画としては『戦火の勇気』という作品があった。デンゼル・ワシントンとメグ・ライアンが主演した作品。メグ・ライアン演じる女性兵士が勲章に値するかどうかを審査するなかで、徐々に戦闘の様子が明らかになっていくという物語。
この作品も同じなんだけれど、実話だけに心を激しく揺さぶる。ピッツェンバーガーは空軍の兵士だった。ヘリに搭乗している衛生兵だった。これは1966年のベトナム戦争で起きたこと。北ベトナム軍に待ち伏せされた陸軍の部隊が救援を求めてきた。
負傷した兵士を運ぶために向かった先で、助けた兵士が衛生兵だった。つまりその部隊には怪我を治療してくれる兵士がいない。そこでピッツェンバーガーはヘリを降りてその部隊に残った。陸軍ではなく空軍だし、そんな義務も必要もない。だけど衛生兵のいない部隊を見過ごせなかった。
逃げるチャンスがあったにも関わらず、彼はヘリが戦闘に巻き込まれるのを避けるため飛び去るように言う。そして彼は空軍兵士として陸軍の部隊に残って戦った。そしてピッツェンバーガーのおかげで9人の兵士が生還できた。だけどピッツェンバーガーは味方の兵士を助けようとして撃ち殺されてしまう。
そんな彼に名誉勲章を与えたい。それがその場にいた陸軍兵士たちの願いだった。そう願う人たちには、それぞれに深い理由があった。新しい映画なのでここでは書かないけれど、ピッツェンバーガーに名誉勲章を与えないと彼らの過去は精算できない。
さらにピッツェンバーガーの父は余命わずかで、生きているうちに息子の名誉を見届けたい。最初はまったくやる気のなかったハフマンは、やがてこの戦闘の事実を知っていく。それは作戦本部の大きなミスで、当時の指揮官は政治家になっていた。その政治家の側近は彼のミスが暴かれることを恐れ、ピッツェンバーガーへの名誉勲章を邪魔していた。
そのことを突き止めたハフマンは、自分の出世を棒に振って、あることを決行する。その結果、ピッツェンバーガーへの名誉勲章授与が決まるという内容。もうラストは涙なしでは観られなかった。
ピッツェンバーガーの勲章のために立ち上がった人たちがすごいキャスト。ピッツェンバーガーの父親役はクリストファー・プラマーで、彼の最後の出演作となった。当時の兵士として登場するピーター・フォンダもこの作品が遺作。
さらに故人となったウィリアム・ハートも好演していた。それに加えてエド・ハリスとサミュエル・L・ジャクソンという豪華キャスト。
こんな事実があったなんて知らなかった。アメリカサイドから観たベトナム戦争なので、偏っているのは事実。だけどピッツェンバーガーという人物は、名誉勲章を授与されて当然の兵士だったと思う。本当に素晴らしい作品だった。
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