過激な環境活動家の末路
ボクは自然環境を守ることに同意する。野生動物による人間への被害が増えているのは、彼らの領域に人間たちが侵入してきた結果だと思う。なのに害獣だと勝手に指定して、動物たちを殺すことをボクは容認できない。できるだけ共存する道を模索するべきだと考えている。
だからと言って、自然を守るために過激な行動を取る人たちが好きじゃない。ここのところネットで話題になっていたように、環境活動家による著名な絵画を汚すという行為には虫唾が走る。自然破壊を非難するために人工物を破壊するという行為は、暴力排除を求めて暴力をふるうことと同じ。暴力はさらなる暴力を生むだけ。そうした行為には、共産主義による暴力革命と同じ匂いを感じる。
そんな環境活動家が主人公となった映画を観た。その映画をチョイスしたのは、ダムを破壊するシーンを見たかっただけ。今書いている小説にダムを破壊するシーンを入れたかったから。資料のために観た作品だったけれど、あまりに悲惨で陰気な展開に驚いてしまった。
2023年 映画#65
『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』(原題:Night Moves)という2013年のアメリカ映画。先ほど書いたようにめちゃ陰気な作品。ところが主演の3人の演技が素晴らしくて、最後まで画面に惹きつけられてしまった。
主人公はジェシー・アイゼンバーグ演じるジョシュ。彼は急進的な環境活動家で、人類による自然破壊に心を痛めていた。そこで人類への警告の意味を込めて、ダムを破壊することにした。その計画に協力したのがディーナという女性。演じているのはダコタ・ファニング。
さらに元海軍の軍人で爆薬に詳しいハーモンが加わった。それが写真の3人。ジョシュは優しい人物で、路上で車に轢かれていた鹿を助けてあげるような人物。ディーナも同じようなところがあって、あくまでもダムを破壊することが目的。だから人間に被害が及ぶことはしたくなかった。
ところが破壊現場を用意したハーモンがかなりいい加減なやつ。事前リサーチが適当だったことで爆破は成功したけれど、キャンプをしていた男性が決壊したダムの水に飲み込まれてしまう。そして水死体で見つかった。
ここから3人の状況が変化してしまう。そもそもそのダムは10箇所もあるダムの一つで、それを破壊したところで大した影響はない。自然保護を訴える効果はゼロに近かった。さらに死者が出たことでジョシュは動揺するし、ディーナにいたっては警察に自首しそうな雰囲気だった。
最終的にディーナの自首を恐れたジョシュが、彼女を殺してしまうという結末。なんという悲惨な映画だろう。ただこの二人の演技ゆえ、かなり深い人間ドラマになっていたと思う。やるせない気持ちしか残らないけれどね。まぁ、小説の資料には役立ったと思う。
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