「外来種」から見える移民問題
生態系を破壊するものに、外来種というものがある。日本でよく知られているのは、魚のブラックバス。獰猛な淡水魚で、動くものならなんでも喰らいつく。ブラックバス釣りの好きな人に聞いたことがあるけれど、カエルに食いついたブラックバスがいたそう。
関西では琵琶湖にブラックバスが放たれたことで、モロコという魚が絶滅寸前にまで追い込まれた。小鮎などもそう。それゆえ琵琶湖のモロコは高級魚のような扱いになってしまった。
我が家の近くのマンションの土手に、この時期になると黄色の可愛い花が咲く。群生しているので圧倒されるほど綺麗。ところがこれも外来種で、日本の生態系を破壊するものとして指定されている。そのマンションでは造園業者が入って処理をしたけれど、毎年花を咲かせている。
どうも日本の在来種は外来種に弱いイメージがある。日本人の民族性とも合致しているような気がする。ところが日本の在来種でも、海外において侵略的外来種に指定されているものがある。
リンク先の記事によると、国際自然保護連合(IUCN)が選ぶ「世界の侵略的外来種ワースト100」というものがある。そのなかに日本のクズとワカメが入っている。クズはくず粉や葛根湯の原料として使われていて、日本人には馴染み深い。葛餅なんてめちゃ美味しいよね。
ワカメに関しては説明する必要もない。日常的な食材として親しまれているし、我が家でもいつも食べている。ところが海外の人から見ると侵略的外来種となる。記事から抜粋してみよう。
『クズは繁茂力が非常に高い多年草で、絡み付く相手を探しながらつるを長く伸ばし、茎の節から根を出して地面に太い根を張り巡らす。切っても切っても生えてきて他の植物や建造物を覆い尽くすので、駆除が難しい』
クズは海外でグリーンモンスターと呼ばれているそう。一方ワカメは、
『ワカメは東アジアに自然分布するが、1980年代以降、「ワカメの子供(遊走子や配偶体)」が種カキや船体に付着したり、船のバラスト水(重り)に混入したりして世界各地に拡散した。日本と朝鮮半島では食用にするが他の地域ではほとんど食べないため大繁殖し、自生種や養殖漁業に悪影響を与える害藻として扱われている』
やはりボロクソ。そもそも海藻を食べるなんて、ヨーロッパの人にしたら信じられないそう。弱そうに見える日本の在来種も、海外では強敵として恐れられているらしい。この「外来種」問題から見えてくるものがある。
それは「移民問題」における視点の置き方。
ヨーロッパの移民問題は、外来種の脅威とイメージが重なる。移民を受け入れることで、自国民の仕事が奪われたり、犯罪が起きたり、社会保障に影響が出たりする。でも立場を変えてみれば、全く反対のことが見えてくる。
これは日本でもこれから本気で取り組むべきこと。移民を受け入れるのか、それとも制限するのか。国際的にその選択を迫られてくる。ただ単に受け入れているだけだと、外来種の脅威にさらされる在来種のようになってしまう。でも立場を変えれば、難民等への人道的な対応、あるいは超高齢化社会の対策として移民の受け入れを求める声も出てくるだろう。
どちらにしてもバランスが崩れると、社会機能に大きな影響が出てくる。「外来種」に関する記事を見ていて、そんなことを考えてしまった。
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