『人間失格』と重なる自分
昨日や今日は夏のように蒸し暑い気候なので、そんな気分を吹き飛ばすミュージックビデオを紹介しよう。マイリー・サイラスが今年の3月に通算8枚目のアルバムを出した。そのなかでボクのイチオシの曲が先日ミュージックビデオになった。
『Jaded』というタイトルで、マイリーらしい熱唱系のバラード曲。ビデオはひたすらセクシーな彼女が見られるので、目の保養にはいいかもよ。
同じく素敵な気分になれるミュージックビデオがある。昨年の10月にカーリー・レイ・ジェプセンがニューアルバムを出している。「The Loneliest Time」というアルバムタイトルで、このタイトル曲がボクのお気に入り。
メロディが美しいだけでなく、デュエットしているルーファス・ウェインライトの声が最高。この二人のハーモニーを聴いているだけで心が震える。そして感動的なのがこの曲のミュージックビデオ。
カーリー本人によると、寂しくて元カレに会いたくなった時に作った曲らしい。だからラブソングなのに、ビデオは宇宙人たちとの遭遇のような内容。勝手なイメージなんだけれど、自分が生まれ育った星に還っていく物語に見える。
ミュージカル映画のように素敵なシーンの連続で、ボクはこのビデオを見るといつも泣いてしまう。(これだけでは伝わらないと思うけれど、故郷の星に帰りたくなるという切なさからくる涙)とにかく二人のハーモニーを体験して欲しいのでリンクしておこう。
さて、かなり懐かしい小説を読んだ。初めて読んだのは高校生かな? 電子書籍は主にKindleを使っている。それ以外にはKADOKAWAが運営しているBook Walkerというアプリを使っていて、そこで青空文庫が無料で読めるのに気づいた。著者が亡くなって時間が経過したことで、著作権が切れている小説。
その青空文庫を少しずつ読むことにした。その第一弾として選んだのがこの小説。
2023年 読書#49
『人間失格』太宰治 著という小説。ボクは高校生のころ、太宰オタクだった。それで彼の小説を読み漁った時期がある。彼の作品として公式に出版された最後の作品となるのがこの『人間失格』のはず。『グッドバイ』は確か未完だった思う。
有名な小説なので説明はいらないだろう。久しぶりに読んだけれど、思っていたより記憶していた。そして高校生時代と同じように、やるせない気持ちになった。ただ還暦を迎えて思うのは、この物語は決して『人間失格』ではないということ。
主人公の葉蔵の心理的葛藤や心の防衛法は、実はボク自身と重なる部分が多い。葉蔵が子供時代に『道化』になることで自分を守っていた気持ちが痛いほどわかる。ボクの子供時代から青年にかけての写真は、常に『固定された笑顔』で構成されている。そうすることが自分を守ることだったから。
他人に疎まれたり、嫌われることが怖い。だから当たり障りのないように明るく振る舞い、いつも笑顔でいる。ボクはそうした演技を続けてきたから、葉蔵が竹一という同級生にその演技を見破られた時の衝撃にショックを受けた。読んでいてマジに冷や汗が出た。
つまり彼が成人して酒やドラッグに溺れていく要素は、ボクの内面にも十分あったということ。そしてそう感じる人は少数ではないと思う。だったらどのように生きれば『人間合格』と言えるのか? そのことをストレートに問いかけてくる物語だと思う。懐かしかったなぁ。
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