謀反人家族の悲惨な末路
『どうする家康』はコメディタッチで物語が進行している。ただこの時代に笑えることの方が少ない。だから悲惨な場面はこれまでもあったし、これからも登場するだろう。先週放送分の側室お万のエピソードは、まだまだ笑える内容。
ところが史実では、家康の正室である築山殿にお万は折檻を受けたという史料がある。ドラマはそのエピソードをお万の機転として、築山殿のいいイメージをキープしている。
ボクが今読んでいる小説ではかなりひどく、築山殿はお万を農民の男たちに投げ出してレイプさせようとした。男たちが思いとどまったことでこと無きを得たが、懐妊したことを知って築山殿は岡崎から浜松まで刺客を送っている。ドラマの築山殿には絶対できないだろう。
ただ明るい雰囲気のドラマにおいてさえ、いよいよドラマ前半の悲劇が近づいてきた。それは築山殿と嫡男の信康に起きる悲劇。おそらく来週には暗雲が垂れこめてくるだろう。一歩先を行く小説では、かなりヤバいことになってきた。
2023年 読書#51
『徳川家康〔6〕燃える土の巻』山岡荘八 著という小説。『どうする家康』をより深く楽しむために、山岡荘八さんの小説を読破中。以前はドラマより遅れていたけれど、第5巻を読了してから追い越した。
この第6巻は、先ほどの築山殿が関わった悲劇がいよいよ近づいてくる。謀反人は家康から絶大な信用を受けている大賀弥四郎という家臣。武術よりも算盤が得意で、財務管理を主に受け持っている。嫡男の信康を補佐するため、岡崎城で働いている。
小説ではこの弥四郎が築山殿と密通する。それで家康を裏切ることを決意して、武田勝頼に内通する。それに巻き込まれたのが築山殿だった。といっても小説の築山殿は悪女として描かれていて、自業自得という状況だった。
まずは信長の娘で信康に嫁いだ徳姫が、弥四郎と築山殿の陰謀に気づく。そして夫の信康にそのことを訴えるが、信康は弥四郎に洗脳されていて耳を傾けない。それどころか徳姫の侍女を殺してしまう。これだけで信長の怒りを買うのに十分。
それでも信長は見逃した。ところが弥四郎の裏切りは露見する。仲間だった家臣が恐ろしくなって、全てを白状してしまったから。それで弥四郎は謀反の罪で処刑となる。ただその方法がエグい。
捕えられた弥四郎は家康に喰ってかかった。領民は戦争をしている家康より、強い武田軍を引き入れることで平和になることを望んでいると。そこで家康はその言葉を聞き入れる。だったら領民に裁きを任せよう、と。
弥四郎は首から下を生き埋めにされた。徳川家の見張はいない。だから通りかかる領民に助けてもらうことができる。もし弥四郎の意見が正しかったら誰かが助けてくれるだろう。だけどそこには鋸が置いてある。弥四郎が悪いと思う領民はいつでもそれを使っていい。
その結果、弥四郎は領民たちに首を切られてしまう。史実はどうだったかわからないけれど、史料には鋸引きの刑になったことが記されているそう。気の毒なのは弥四郎の妻子。当時は謀反人の家族も殺されてしまう。これは鎌倉時代からそうだった。
家康は妻子を助けたかった。だけど弥四郎は妻に対する離縁状を書かない。妻は夫の謀反を知らなかったが、夫と共に死ぬことを決める。だから妻と子供は磔にされてしまった。見せしめの意味があるんだろうけれど、弥四郎の家族の悲惨な末路に涙した。
ということでドラマでもこの弥四郎が登場するはず。大賀という姓より、大岡という説が有力らしい。だからドラマでは大岡弥四郎で登場するかも。小説では悲惨なことになったけれど、ドラマではどのようになるのだろう? 小説では今のところ築山殿も信康も健在。だけどいよいよ二人の最後が近づいてきた。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする