キャスト総替えの成否やいかに
ボクの大好きなデンマーク小説がある。『特捜部Qシリーズ』という作品で、すでに８冊が邦訳されている。第８作目は気になるところで終わっているので、ボクはひたすら第９作目が出版されるのを待っていた。
そしてついに９作目が出る。『特捜部Q カールの罪状』というタイトルで、６月６日に発売開始が決まった。ボクは図書館の本で読むつもりなので、来月になったら毎日入荷をチェックしなくては。うまくいけば、今年の夏には読めるかもしれない。
この作品と出会ったのは、第１作目の映画化作品を観たから。それで原作を読んでみるとめちゃめちゃ面白い。すっかりハマってしまって、第８巻まで一気に読了した。それと並行して映画も全て観た。
第４作まで映画化されている。もちろんデンマーク映画。ところが正直言って、原作を読んでしまうと不満が残る内容だった。特捜部Qはいわゆる未解決事件を扱う部署。デンマーク警察が予算を取るために、便宜的に創設した。その責任者が刑事のカール。
その主人公のカールと、アラブ人の訳あり助手のアサドが活躍する物語。このアサドに関してはずっと謎として残されていて、ようやく第８作でその一部が明かされた。だから９作目を楽しみにしている。
そんな二人の過去や現状が、映画では省略されている。これは仕方ないことなんだけれど、原作との落差がかなりある。それでもこの作品を愛するボクとしては、第４作までの映画を全て観た。そしてついに第５作の映画が公開された。
2023年 映画＃75
『特捜部Q 知りすぎたマルコ』（原題：Marco effekten）という2021年のデンマーク映画。この第５作目の映画化にあたって、驚くことが起きた。なんとキャストが総替えになっている。制作会社が変更したとのことで、監督だけでなく出演者もすべて変更されている。
この写真の左がカールで、右がアサド。過去の４作が好きな人は、おそらく相当ショックだと思う。これまで４本も映画を観てきたのに、かなりイメージが違うから。ちなみに過去の二人の写真がこれ。
どう？ ぱっと見でもかなり違うのがわかる。ボクはこの二人が好きだったので、原作と内容が違っても観続けていた。だけどこの二人が消えてしまった。
新しいカールはかなり頭髪が後退している。年齢的にも、原作とは相容れない。過去のカールの方が原作の年齢に近いと思う。それでもとにかく新しい作品を観ることにした。
その結果感じたのは、見た目の印象は過去のカールの勝ち。ところがカールのキャラとしては、新しいキャラの方が原作に近い気がする。ただカールの家庭事情（映画では無視されているけれど）を考えると違和感がある。
実はアサドに関しても新作の方がピッタリだった。彼はかなりヤバい過去がある。そんな闇の部分を新しいアサドは見事に演じていた。ラストで犯人を射殺する時も、カールが銃を突きつけられているのに躊躇なく犯人を射殺した。このあたりは原作のアサドを感じられた。
まぁ、結論から言えばボクはあまり気にしていない。過去の映画化作品で、すでに原作との剥離を容認しているから。だから今さらキャストが変わっても、別の物語として観られる。そう思ってみれば、この映画はよくできてたと思う。原作をかなり変更してあるけれど。
だけど過去作品のファンにすれば、おそらく納得いかないと思う。カールの見た目は圧倒的に過去作品のほうが合っている。すでにこのキャストで第６作を撮影しているそう。だったら映画の質をかなりブラッシュアップしないと、過去作品のファンは離れてしまうと思う。キャストの入れ替えはリスクが高いよねぇ。
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