リアル『薄氷を踏む』作品に興奮
台風2号に刺激された梅雨前線の影響で、全国的な大雨となっている。神戸市も早朝に大雨警報が出た。この時間(午後4時)になって空は明るくなってきたけれど、まだ警報は継続中。東海道新幹線も大雨の影響で運転を見合わせているらしい。大きな被害が出なければいいんだけれど。
なんだかんだ言って、人間はまだまだ自然にかなわない。だから無謀な行動に出るとしっぺ返しを喰らってしまう。でもどうしても自然に立ち向かわなければいけないとしたら? そんなテーマを映画化した作品を観た。
2023年 映画#79
『アイス・ロード』(原題:The Ice Road)という2021年のアメリカ映画。リーアム・ニーソンが主演しているだけで、ハラハラドキドキの映画だと想像できる。最初から最後まで目が離せないアクション映画の王道という内容だった。
カナダの鉱山でメタンガスによる爆発事故が起きる。死者が出ただけでなく、26人が坑道に閉じ込められた。助けるためにはメタンガスを抜いて、崩れた坑道を爆破するしかない。メタンガスを抜くためには、抗口装置が必要になる。ところが25トンもある大きな装置。
飛行機で運ぶにも、鉱山には滑走路がない。そうなると陸路を使ってトラックで運ぶしかない。ところがその道はアイス・ロードと呼ばれていて、春以降は閉鎖されている。凍った湖を通るルートだから。
氷はわずか80センチの厚みしかない。その上を25トンの荷物を積んで移動しなければならない。鉱山内の酸素に限度があるので、30時間以内に到着する必要がある。そこで選ばれたドライバーが、アイス・ロードの経験があるマイクだった。もちろん演じているのはリーアム・ニーソン。
マイクにはガーティという弟がいる。軍人だったがイラク戦争で負傷してPTSDと失語症を抱えていた。そんな弟をかばったことで仕事を失ったマイクは、優秀な整備士である弟を連れてこの仕事に挑むことにした。なぜなら多額の報酬がもらえるから。
ただ氷が割れて水没する可能性が高い。その可能性も考えて、3台のトラックと3人のドライバーが用意された。さらに報酬を提供する保険会社の人間を含めた5人で鉱山へ向かう。ところが予期せぬ出来事が次々と起こり。チームリーダーのジムが水没して命を落としてしまう。ちなみにこのジムを演じていたのは、ローレンス・フィッシュバーン。
これだけなら自然に立ち向かうドライバーの物語になる。ところがそう簡単にいかない。ジムの事故は陰謀であり、その黒幕は鉱山会社の幹部だった。爆発事故が起きた原因はメタンガスの危険を無視して、鉱山で働く人たちを買収した結果だった。その事実がバレたらまずい。
そこでマイクたちの行動を邪魔することで、鉱山の26人を見捨てて口を封じるために執拗な妨害工作を繰り返していた。その実行犯が、保険会社の人間として紛れ込んでいたトムだったというオチ。そこからは想像できるように、マイクとトムとの死闘が続く。
もちろん結果は予想できる。でないと物語にならないから。だけどそこに至る過程を十分に楽しめるアクション作品だった。湖の氷が割れるシーンはマジで怖い。まさに『薄氷を踏む』という雰囲気だった。
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