体も心の痛みも感じない遺伝子
爪を切るときいつも思うのは、爪に神経がなくて良かったということ。痛みが苦手なボクだから、もし爪に神経があれば麻酔が欠かせなくなってしまう。
ただまれに痛みを感じないという人がいる。「無痛覚症」と呼ばれていて、遺伝子変異による症状。ボクがこの症状を知ったのは、『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』という映画にもなったスウェーデンの小説を読んだとき。
主人公のリスベットの宿敵がこの病気を持っていて、殴ってもナイフで刺しても平気な顔をしている。ただこの症状は染色体異常による劣性遺伝なので、若くして亡くなる人が多いそう。
ところが同じように痛みを感じないのに、普通に長生きできる遺伝子を持っている人がいる。最新の研究によると、その人が持っている遺伝子は痛みを感じさせないだけに留まらない、想像を超えたスーパー遺伝子だったことがわかったそう。
痛みを感じず、傷の治りも早いスコットランド人の女性の秘密を解明
そのスーパー遺伝子を持っているのは、スコットランド人の女性であるキャメロンさん、彼女は幼いころから怪我をしても痛みを感じなかった。でもそれだけじゃない。痛みを感じないだけでなく、考えられない速さで傷が完治した。
さらに他人から悪口を言われたり、不安やストレスに悩むような状況であっても、他の人のように心の痛みで悩むことがなかった。まさに無敵。リンク先の記事にはこう記されている。
「心も体も痛みを感じず、肉体の傷も即座に回復する」
キャメロンさんが60歳になった時、手と腰の大手術を受けることになったが、術後の痛み止めを全く必要としかなった。さらに股関節に重度の変形が見られるのに、通常なら感じる激痛の影響を受けていない。そこで医師から紹介されて、彼女について研究が進められた。
その結果わかったのは、「FAHH-OUT」と呼ばれる遺伝子の一部が変異していることが判明した。この遺伝子はジャンクDNAと呼ばれていて、なんの遺伝子情報も有していないと考えられていた。でもこれこそが、まさにスーパー遺伝子だったらしい。
まず「FAHH-OUT」には、痛みの感知に重要な遺伝子「FAAH」の活性を維持する役目があることがわかった。「FAAH」の活動が妨げられることで、痛みの耐性につながっていたそう。でもそれだけじゃなかった。記事から抜粋してみる。
『FAHH-OUTの変異によって影響を受ける遺伝子は膨大な数に及んでおり、797の遺伝子が活性化され、348個の遺伝子が抑制を受けていることが発見されました。これら影響を受ける遺伝子の中には、傷の治療にかかわるもの(WNT経路)や骨の再生に関与する遺伝子(WNA16)、気分を調節する遺伝子(BDNF)、天然の鎮痛剤(ACKR3)が含まれていました』
キャメロンさんは「FAHH-OUT」の働きによって、痛みを感じないだけでなく、傷の治りが早く、「鋼のメンタル」を有することになった。ジャンクDNAと呼ばれていた遺伝子にこんな働きがあったなんて。
キャメロンさんの家族には、同じ状況の人が多いそう。つまりこの性質は遺伝するということ。「FAHH-OUT」についてさらに研究が進めば、痛みの緩和や傷の治療、さらに心の病に関して人類に貢献することになるかも。
もしかしたら未来の人類は、「FAHH-OUT」の遺伝子移植を受けることによって無敵になっているかもね。
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