最恐は民衆の不満爆発
昨日放送された『どうする家康』の録画を今日の午後に観た。今回のメインは鳥居強右衛門。岡崎体育さんが演じていたけれど、素晴らしい演技だった。有名な磔シーンで血生臭い雰囲気はなかったものの、仲間を勇気づけるために死を受け入れた彼の決意を感じる演出だった。
大河ドラマと同時進行で山岡荘八さんの『徳川家康』を読んでいる。この鳥居強右衛門に関しては第7巻で長いページが割かれていて、彼の壮絶な生き様が今でも強く心に残っている。戦国史に興味のない人や大河ドラマを観ていない人には、何のことだか全くわからないだろうけれどね。
さてその小説は、ドラマに追い越されるのを見込んで可能な限り読み進めている。小説の方では、すでに鳥居強右衛門の活躍は遠い過去の出来事のように感じている。
2023年 読書#55
『徳川家康〔8〕心火の巻』山岡荘八 著という小説。この第8巻は、歴史的にも有名なシーンの連続。大きく分けて3つの出来事が描かれている。
(1)本能寺の変
(2)徳川家康の伊賀越え
(3)羽柴秀吉の中国大返しと山﨑の戦い
この項目それぞれで本が1冊かけるほどの大事件。昨日の大河ドラマでは家康を脅していた織田信長。でもこの小説では早々に命を落とす。そして謀反を起こした明智光秀もこの第8巻でこの世を去った。戦国時代でボクが推している2人の武将が退場してしまったので寂しい。
それぞれの事件についてあえて語る必要はないだろう。歴史的な解釈は様々だけれど、とりあえず教科書に載っている出来事ばかりだから。とにかくこの第8巻で強烈な印象を感じたのは、民衆の不満爆発の怖さ。
天下を統一目前だった織田信長が死んだとたん、落ち着きかけた日本が再び沸騰する。そんな民衆の不安と不満が、信長の死によって暴発した。信長に随行して京都に入り、その後は大阪の堺を見物していた家康にそんな民衆が襲いかかる。
わずかな供回りだけの家康。堺から三河に戻るためには、光秀の追手だけでなく、農民たちの一揆を覚悟しなければいけなかった。それが有名な家康の伊賀越えになる。茶屋四郎次郎の助けがなければ、家康はこの段階で歴史から姿を消していたかも。ドラマでは中村勘九郎さんが演じるので、今からこの場面を楽しみにしている。
武田軍から降伏して家康の家臣となった穴山梅雪は、家康と別ルートを取ったことで命を落としている。名のある武将でも、民衆の一揆にはかなわないということ。家康が無事に三河へ辿り着けたのは、天が味方していたとしか思えない。
一方主家殺しの汚名を着た光秀に天は味方しなかった。山崎で秀吉軍に敗れた光秀が、滋賀県の坂本に逃げる途中、京都伏見の小栗栖で民衆の竹槍によって命を落としたというのが定説。ちなみにボクは少年から青年時代を京都の山科で過ごしていたので、現代の小栗栖の雰囲気をよく知っている。
光秀の死で第8巻は終わっているので、第9巻はあの有名な『清洲会議』から始まるのかな? 秀吉が日本を統一するまでには、まだまだ時間がかかる。柴田勝家を滅ぼし、家康と小牧長久手で睨み合った後のことだからね。ドラマに追い越される前に、小説はどんどん先へ進もう。
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