感動のタイムトラベル作品
関東方面は梅雨明けしたとのこと。近畿は北部にまだ雨が残っているようで、神戸は朝から真夏のような晴天だけれど梅雨が続いている。まぁ、梅雨入りも梅雨明けも適当なもんだから、実質的には神戸も梅雨明けということだろう。
といっても今年の7月はいい感じで進んでくれている。今日も自宅にいる限りは六甲山からの風が吹き込んでいて、扇風機さえ使うことなく快適に過ごせた。この風が夜も残ってくれていたら、昨日のように気持ちよく眠れるんだけれど。
さて、ボクはタイムトラベルが出てくる小説や映画が大好き。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター』もそうだし、ラブストーリーでは『きみがぼくを見つけた日』や『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』という作品も秀逸。
そして日本の映画で感動したのが『地下鉄に乗って』という作品。映画を観て衝撃を受けたけれど、ようやく原作を読んだ。
2024年 読書#63
『地下鉄に乗って』浅田次郎 著という小説。ボクがこの作品に最初に触れたのは、先ほども書いたように堤真一さんが主演して2006年に公開された映画作品。本当に感動して、いつか原作を読もうと思っていてようやく読了できた。
有名な作品なので知っている人は多いだろう。でも全く知らない人のために、大切なオチは隠しておこう。物語の舞台は1994年の東京。主人公は小沼真次という女性用下着を売り歩くセールスマン。妻と二人の子供、そして母親と暮らしている。
でも実は小沼グループというアパレル大企業の息子。真次は次男で、会社は三男が後継者になっている。長男は父と大喧嘩をしたことで、昭和39年に地下鉄に飛び込んで自殺してしまった。自分勝手で傲慢な父に嫌気が差し、成人した真次は母を連れて小沼家を出ていた。
そんなある日、真次は地下鉄の通路でタイプスリップしてしまう。着いたのは30年前の昭和39年の長男が自殺した日。そのことに気づいた真次は、大人になった自分の身元を隠して兄を見つけ、自宅まで連れて帰った。それで自殺を防いだと思ったけれど、30年後に戻るとやはり兄は自殺をしていた。
それ以来、真次はタイムトラベルを繰り返すようになる。そのほとんどが確執のある父の佐吉に関係していた。戦地の満州から戻って闇市で商売をしている父、出征前の父、敗戦が決まって満州に移住していた日本人を助けるために戦う父、そして少年の頃の父、というようにいくつもの時代を行き来した。
不思議なことに、真次の愛人であるみち子も同じようにタイムトラベルしていた。そして真次と同じ時代を経験している。というような感じで、疎遠になっている父の実像を知ることで、父の生き様を真次が理解していく構成になっている。ただ、それだけではない。
愛人のみち子がなぜタイムトラベルに巻き込まれるのか? 長男の死と出生の秘密とは? これらの謎にこの物語の核心が隠されている。そしてその先に悲劇が待っていた。
ネタバレはここまで。タイムトラベル作品が好きな人で、まだこの物語を知らない人はぜひ体験してほしい。最初はイメージが湧きやすいので、ボクのように映画から始めるのがいいかも。堤真一さんと大沢たかおさんの素晴らしい演技で、この物語の独特な世界をリアルに感じさせてもらえるから。
でも最終的には原作が一番。この小説を読み終えて、ボクはようやくこの物語の本質に触れたような気がした。
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