日露戦争でロシアが負けた理由
明日から10月ということで、ようやく秋らしい空気を感じている。最高気温も30度を超えないし、朝も熱帯夜ではない。それでも平年より高い気温なんだけれど、厳しい暑さが続いていたから十分にありがたい。
本来なら年末の大掃除に突入するけれど、今年は気温が高めなので来月の中旬くらいから始める予定。寒い時期の大掃除は大変だけれど、気温が高い時も辛いしね。天気と気温を見ながら、じっくりと年末の大掃除をやろうと思っている。
さて、昨日のブログで書いたように、今のボクは日露戦争にハマっている。そのきっかけはこの小説を読むようになったから。
2024年 読書#83
『坂の上の雲 四』司馬遼太郎 著という小説。単行本で全6巻のうち第4巻を読了した。9月になってNHKで再放送されているこの作品のドラマは、まだ1〜2巻のあたり。この調子でいけばドラマに追いつかれることはないだろう。
この第4巻はすでに日露戦争に突入している。なかでも多くのページが割かれているのは「二百三高地」の戦い。小説は昨日の映画よりも詳細が書き込まれているので、どれほど多くの日本兵が死に、乃木希典が司令官としてどれほど愚鈍で、最終的に日本を救った児玉源太郎がどれほど偉大だったかよくわかる。
この戦闘に関しては昨日の映画の感想で書いたのでこの程度にしておこう。この第4巻でボクが最も驚いたのはロシア軍の不思議な行動。日本にとってヨーロッパの大国であるロシア。元から勝てるなんて日本政府は思っていない。
最悪でも五分五分、うまくいけば六分四分の戦況で講和に持ち込みたいのが日本政府の意図だった。それほどロシアという国の戦力が圧倒的な強さと物量を有していたから。ところが兵士も弾薬も、そして戦費もからっけつ寸前の日本が勝利した。その理由がこの第4巻で感じ取ることができた。
まずこの当時のロシアは共産主義による革命の嵐に見舞われていた。実際に日露戦争で日本に負けたことで、皇帝のニコライ2世は殺されてソ連という共産国家が出現した。そんな国内事情なので、戦争に対して国民一丸という意欲がなかった。
さらに日英同盟の影響は無視できない。イギリスは徹底してロシアの邪魔をした。世界最強と言われているバルチック艦隊がヨーロッパの港を出て日本へと向かった。必要なのは蒸気船で使う石炭。イギリスの石炭は最高品だけれど、それをロシアが購入できないよう封鎖した。だからバルチック艦隊は、火力の弱いドイツ製の石炭を使うしかなかった。
バルチック艦隊が途中で寄港するする際も、イギリスの植民地は当然ながら使えない。ロシアにとって友好国であったフランスも、満州での劣勢を知ってロシアに植民地の港を使わせなかった。これはフランスがイギリスに忖度したから。ウクライナに侵攻した現在のロシアにように、この当時のロシアも孤立していた。
さらに指揮官がどうにもこうにも使えない。バルチック艦隊を率いるように命じられたロジェストウェンスキーは、日本の戦艦がヨーロッパに潜んでいるという幻想に囚われていた。常にビクビクしている状態で、まだヨーロッパにいるのに日本の軍艦と間違えてイギリスの漁船を攻撃して沈めている。
当然ながら国際問題となり、ロシアはさらに孤立した。そんな司令長官を抱えるバルチック艦隊だから、日本の海軍と戦闘する時にはすでに負けムード満載だった。これは陸軍にも言える。
黒溝台という場所での戦闘の際、総司令官のクロパトキンはもう少しで日本陸軍を殲滅できたのに、偽情報に惑わされて撤兵している。それがきっかけで日本軍が最終的に勝利した。その撤兵にはクロパトキンがライバルの指揮官を失脚させようという駆け引きがあったらしい。つまりロシアの敵は日本ではなく、同じ国の人間だったということ。
日本が勝利したのは、もちろん命をかけて戦った日本の陸軍と海軍の勇気と戦略によるもの。けれどもその背景には、イギリスの援護とロシアの国内問題があったのは事実。ロシアは日本と戦う前からすでに負けていたのかもしれないなぁ。さて、いよいよラスト前の第5巻を次に読もう。
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