依存症にならない鎮痛薬に期待
ボクは自分の『死』に対する恐怖はかなり希薄。ただ痛みに関しては極力避けたいと思う。最近の緩和ケアは進化していて、ガンになってもモルヒネ等の投与を調整することで痛みに対応できるようになっている。尊厳死が認知されつつある現代において、痛みのコントロールが重視されているからだろう。
ただ、モルヒネが麻薬であることに違いない。それゆえどうしても中毒等の依存症や、副作用が起きてしまう。そんなデメリットを解消する、全く新しい鎮痛薬が近い将来に登場するかもしれない。
モルヒネの歴史は古く、発見されたのは1804年で、1805年には鎮静催眠薬としてヨーロッパで使用されていたそう。ちょうどフランスでナポレオンが活躍していた時代。もしかしたら戦争での鎮痛剤としいて使われていたかも。
ただモルヒネがなぜ痛みを抑えるのか知られていなかった。ケシ植物を原料とする薬物として知られてきただけ。ところがスウェーデン・カロリンスカ研究所がこのメカニズムを解明したとのこと。
モルヒネを投与すると、脳内の「吻側延髄腹内側部(ふんそくえんずいふくないそくぶ:RVM)」と呼ばれる特定のニューロン群が活性化していることを発見したそう。このニューロン群はモルヒネ・アンサンブルと名付けられた。
マウスでの実験によると、モルヒネを投与したのにモルヒネ・アンサンブルを不活性化すると、痛みが継続していることがわかった。さらにモルヒネを投与していないのにモルヒネ・アンサンブルを活性化すると、痛みが完璧に緩和されたとのこと。
つまりモルヒネを投与しなくても、モルヒネ・アンサンブルを活性化すると強い痛みを緩和することができる。この作用を人為的に起こすことができれば、ガン等の痛みに対してモルヒネが必要なくなる。そして依存症や副作用のリスクからも解放される。
これから人間に対する効果が検証される段階だから、実用化には時間がかかりそう。ボクがモルヒネを必要とする時には、この鎮痛薬が完成していたらいいんだけどなぁ。
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