笑いに隠された深刻なテーマ
今日も朝から晴れっぱなしで暑いけれど、昨日までと少し雰囲気が違う。たまに涼しい風が吹いて、神戸の今日の最高気温は32.5度で止まっている。それでも午前中に予約していた歯科の定期検診に行った時は、やっぱり汗だくになった。検診は異常もなく無事に終了したけれどね。
ここ数日の洋楽界は、2024 MTV Video Music Awardsの授賞式の記事で賑わっている。これから当日のパフォーマンスの映像がYouTubeで流れてくるので、しばらくはライブ映像を楽しめそう。そしてボクが今年になって「絶対売れる」と豪語していたアーティストが最優秀新人賞を受賞した〜〜!
それはチャペル・ローン。タイラやベンソン・ブーン、そして先日のボクのブログで紹介したグレイシー・エイブラムスという強敵がノミネートされている中で彼女が最優秀新人賞を獲得した。この調子でいけば、来年のグラミー賞も取るだろうと思う。
そのチャペル・ローンが、現在世界中で大ヒットしている『Good Luck,Bebe!』を会場で披露した。この曲はLyricビデオしかないので、ブログで紹介できなかった。でもこの授賞式での演奏はすごい! 彼女らしい『ぶっ飛び』の演出となっているのでリンクしておこう。この異質な雰囲気が最高なんだよね。
さて、基本的にコメディの要素が強いけれど、とても重くて深刻なテーマを扱った素晴らしい映画を観た。
2024年 映画#163
『ブラインドスポッティング』(原題:Blindspotting)という2018年のアメリカ映画。
主人公はドレッドヘアの黒人であるコリン。ある罪を犯して刑務所に収監され仮釈放された。保護観察期間は1年で、その期間中は門限が23時の決められた宿舎で寝起きし、真面目に働き、たとえ信号無視でも違反をすれば刑務所に戻される。
隣にいる幼なじみのマイルズと組んで引越し業者で働くコリン。あと3日で自由になるというコリンの日々と、彼が巻き込まれるトラブルが描かれている。そもそも親友のマイルズがヤバい。コリンが刑務所に行くことになったのも、このマイルズが関わっていたから。
罪悪感を感じたマイルズはコリンに親切にするけれど、どうにも危なっかしい。違法な銃を手に入れた段階で、何が起きるか想像できる。でも妻と幼い子供がいるマイルズのため、コリンは毎朝彼を迎えに行き、職場のタイムカードを押してやり、トラブルに遭わないようにマイルズのかんしゃくを抑えてきた。
残り3日となったその日の夜、門限に遅れそうで急いでトラックを走らせていたコリンは信号待ちで止まった。その時、黒人の若い男性が警官に追われて逃げているのを見た。そして駆けつけた警官が、武器を手にしていない黒人の青年をコリンの目の前で射殺した。アメリカでよくあるヤバい事件。
この事件がコリンのトラウマとなって、映画のラストにまで影響してくる。最終的にコリンは無事に保護観察期間を終えるし、親友のマイルズが死んだり刑務所に行くようなことにはならない。
全体として必死で真面目に過ごそうとするコリンと、それを邪魔するマイルズとのコメティが中心。けれども白人警官による黒人青年の射殺でわかるように、人種差別問題、経済格差、そして民族問題等がテーマとして重くのしかかってくる。
圧巻だったのはラスト近くの場面。二人が引越し作業に向かったのは、黒人青年を殺した警官の家だった。妻と子供は夫を捨てて家を出る。その荷物の回収に行った。やがてその家の主人が人殺し警官だと気付いたコリンは、マイルズが違法に入手した銃でその警官を脅した。
このシーンのコリンの演技は鳥肌もので、映画のテーマの全てがここで圧縮して語られている。笑いながらも重いテーマが心に残る素晴らしい作品だった。
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