敵の同胞を助けたテメレアに感動
今日の大掃除はお風呂。毎日お風呂が上がりに掃除をしているので、浴槽や壁はいつもきれい。大掃除は隠れている箇所のカビ取りや、ユニットバス浴槽の前面部にあるエプロンを外して分解掃除をする。
最初のころは慣れないので時間がかかった。でも神戸に引っ越して16年になるので、ユニットバスの構造は熟知している。それなりに時間はかかるけれど、予定通りに掃除を終えることができた。こうしてコツコツやっていると、少しずつでも美しくなっていくのが嬉しい。
さて、シリーズ作品の小説が巻を重ねるごとに面白さを増している。なんて奥の深い物語なんだろう!
2024年 読書#88
『テメレア戦記Ⅳ 象牙の帝国』ナオミ・ノヴィク著という小説。全部で9巻あるシリーズ作の第4作目を読了。ナポレオンがヨーロッパを制覇しようとしてた時代のイギリス軍兵士が物語の主人公。邦訳は今年の夏に第8巻が刊行されている。
この物語が面白いのは、史実に基づきながらも独自の世界観を物語に取り入れていること。それはドラゴンが世界中に生息していて、イギリス軍も敵のフランス軍も、戦闘機のようにドラゴンを空軍の兵器として使用している世界。
そのドラゴンの種類は多く、そして知能も高い。言葉は話せるし、主人公のテメレアなどは何ヶ国語も話せて文字まで書ける。テメレアは愛すべきキャラで、好きにならずにいられない。そのテメレアが信頼してハーネスをかけさせたのがローレンスというもう一人の主人公。
前回はテメレアの故郷である中国からイギリスに戻る途中、プロイセン王国でテメレアたちは戦闘に参加した。本来なら同盟しているイギリス軍から20頭のドラゴンが来るはずだった。なのに1頭もこないし、何の連絡もない。そこでナポレオン率いるフランス軍と戦うためにテメレアたちは戦地に向かった。
ところが史実通りにプロイセン王国は惨敗。テメレアたちもイギリスへと戻ることにした。そしてこの第4巻の冒頭で、なぜイギリスのドラゴンたちが戦闘に参加できなかったが明らかにされる。それはドラゴンたちが感染している原因不明の感染症だった。テメレアの同志たちの大勢が死にかけていた。
でもテメレアは感染しない。どうやら抗体ができている。その理由は中国へと旅立つために立ち寄ったアフリカだとわかった。ということでアフリカへ再度旅立ち、病気の治療法を見つけることになった。詳細は省くけれど、アフリカ固有のあるキノコが治療薬になることがわかった。
でもそう簡単にいかない。奴隷制度に反対する先住民たちによる戦争が勃発した。アフリカのドラゴンを従えた先住民たちは、イギリスだけでなくオランダやフランスの軍隊をアフリカから追い出す。イギリス人だけでも壮絶な数の使者が出ているけれど、おそらくこれも史実に基づくことだろう。
どうにかイギリスに戻ったテメレアたち。ところが驚くことが起きていた。イギリス政府の高官たちが、偵察に来ていたフランスのドラゴンを捕え、病気に感染させてフランスに帰した。治療法を見つけたのはイギリスだけ。つまり世界中のドラゴンを感染症で抹殺しようという残忍な作戦。
そんな虐殺行為にテメレアは黙っていないし、それはローレンスも同じだった。軍の反逆罪になるのを覚悟して、二人はキノコを盗んでフランスへと飛んだ。そしてナポレオンに治療薬になるキノコを渡す。ナポレオンはフランスへの亡命を勧めたが、ローレンスは断ってイギリスに戻ることを希望した。
ナポレオンはそれを受け入れたが、ローレンスがイギリスへ戻れば軍法会議にかけられて絞首刑になるのは確実。ローレンスはテメレアには逃げるように告げて、裁きを受けるためにイギリス軍へと戻っていった。そこで第4巻が終わり。
第9巻まで続くので、ローレンスが死ぬことはないだろう。でも気になって仕方ない。できるだけ早く第5巻を読まなくては。いやぁ、なんて面白い物語なんだろう。著者の他の作品はどれも素晴らしいけれど、おそらくこの作品が最高作だと思う。
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