兵士の苦悩は戦地だけではない
10月下旬なのに夏と秋がせめぎ合っているので、なかなかに複雑な気温になっている。基本的に秋が優勢なんだけれど、今日のような曇り空でも神戸は25度の夏日を記録している。いい加減に衣替えをしたい。でも買い物に行くと暑いしなぁ。
週間予報を見ていると、来週くらいには本格的な秋になりそう。来週はミューナを病院に連れて行く予定もしているので、今週末には衣替えをしようかな。といってもミニマリストのボクは服が極端に少ないので、ほぼ15分もあれば終わってしまうけれどねwww
さて、キャストに大好き好きなジェシカ・ビールの名前を見つけて選んだ映画を観た。珍しいことに彼女が兵士役をしていて、女優としての幅の広さを実感できた素晴らしい作品だった。
2024年 映画#189
『勇者たちの戦場』(原題:Home of the Brave)という2006年のアメリカ映画。イラク戦争に従軍した兵士たちが主人公の物語。といっても戦地でのシーンは冒頭だけで、物語のメインテーマは母国であるアメリカに戻ってからのPTSDだった。実話ではないだろうけれど、おそらく同じような事例がいくつもあったはず。
ウィル、ヴァネッサ、トミー、ジャマールという写真の4人の群像劇として構成されている。4人はイラクで任務についていたが、2週間後にアメリカへ戻れることになった。最後の任務として、困窮しているイラク国民に医療物資を届けることが命令された。
ところが街に入ったところで待ち伏せに遭ってしまう。ジェシカ・ビール演じるヴァネッサは爆発に巻き込まれて右手を失った。ヴァネッサを治療したのは軍医のウィルで、サミュエル・L・ジャクソンが演じている。
トミーはスナイパーを追っている時、親友だったジョーダンを死なせてしまった。ジャマールはトミーたちと行動を共にしている時、敵兵士と間違えて民間人の女性を射殺してしまう。4人それぞれが心に深い傷を負って帰国した。
帰国した彼らには恋人がいたり家族があった。ところが4人に共通しているのはPTSDによる不眠と精神安定剤の薬漬け。戦争で人格が変わってしまい、誰もがまともに仕事をできずに人間関係が破綻していた。
最悪の結果を迎えたのはジャマール。恋人が自分を避けるようになったことで自暴自棄になって人質をとって立ちこもった。戦友のトミーが説得に成功したと思った時、立ち上がったジャマールは警察のスナイパーに射殺されてしまう。
他の3人はどうにか自分を取り戻した。ヴァネッサを救ったのは新しい職場の恋人だった。ウィルを支えたのは彼の妻と子供たち。そしてトミーは自分の想いが戦地で苦しんでいる戦友たちに向いていると気づき、軍に復帰して再びイラクの戦地へと向かった。
4人の苦悩が克明に描かれていて、戦争体験におけるPTSDの怖さがリアルに感じられる作品だった。最初は薬やアルコールに逃げてしまうけれど、最終的に彼らが人生を取り戻すことができたの身近にいる人たちの愛と思いやりだった。
戦争シーンの迫力はドキュメントを見ているようで真に迫っていた。それだけに、その恐ろしい経験がいつまでも消えない兵士たちの苦しみが強く伝わってくる素晴らしい作品だった。
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