人類を罰する神は悪魔以下
秋雨前線の影響で今日の神戸は曇り空でかつ気温が低かった。最高気温が20度に達しなかったのはいつ以来だろう? 夕方になって雨が降ってきたので冷んやりととした気温がこのまま続きそう。
ミューナの通院は昨日で終わったので、明日からは年末大掃除を再開する。でも外回りは終わったので、気温が下がっても寒い思いをして掃除をすることはない。11月中旬あたりの大掃除終了に向けて気合いを入れ直そう。
さて、映画のテーマとしてはかなり面白い作品を観た。人間心理がうまく描かれていた良作だと思う。ただ、根底にあるキリスト教観が邪魔で仕方なかった。
その宗教観というのは、人類は罪人であり、その人類を罰するのが神だという構図。映画や小説の世界にこの思想が出てくると、ボクはそれだけで強い拒否感を覚えてしまう。
2024年 映画#192
『ノック 終末の訪問者』(原題:Knock at the Cabin)という2023年のアメリカ映画。新しい作品なのでネタバレしないように注意しよう。
人里離れた森の奥で3人の家族が平和に暮らしていた。男性同士の同性愛夫婦であるエリックとアンドリュー、そして二人の養子である少女のウェン。この家に4人の男女がいきなり強引に押しかけてきた。
強盗でもなく、新興宗教の信者でもない。学校の教師や看護師という普通の4人。ところが彼らは人類が滅亡するという共通のヴィジョンを見た。地震や伝染病等で人類の全てが滅んでしまう。それを防ぐ方法はたった一つ。
この3人の家族が相談のうえ、自主的に一人の生け贄を差し出すこと。もちろんエリックたちは拒否する。4人の妄想だと言って受け付けない。4人には預言者としての使命があり、説得に失敗すれば順次訪問者たちによって処刑されてしまう。
どうしても生け贄とならない3人を説得できず、最初に処刑されたのはレドモンドという男性だった。このレドモンドを『ハリーポッター』でロン役だったルルパート・グリントが演じている。レドモンドが処刑された後にテレビをつけると、アメリカの西海岸でマグネチュード8の地震が起きて大津波が襲いかかった。
そんなテレビ報道を見ても、エリックたちは信じない。次に女性が処刑されると、正体不明の伝染病で子供たちが世界中で病院に搬送された。残された二人は必死でエリックたちを説得する。さて、人類を滅亡から救うためエリックたちは命を出すのだろうか?
映画としてはかなり面白かった。もちろんつっこみどころは満載。なぜ訪問してきた4人が預言者の役割を担ったのか、そしてなぜエリックたち3人の一人が生け贄にならなくてはいけないのか? そのあたりは完全にスルーされている。
それでも映画としてはなかなかいい。エグいシーンもぼやかしてあるので許容範囲。ただボクがどうしても納得できないのが最初に書いた『罰する神』という存在。キリスト教の聖書、特に旧約聖書にはこの『罰する神』が何度も登場する。ソドムとゴモラ、ノアの方舟等において神の罰が行使されている。
ボクはどうしてもこの思想を受容できない。人類を罰することで神の意向に沿わせるというのは脅迫であり、暴力団やマフィアがやっていることと同じ。これならまだ人の心を惑わせてダークサイドに引き込む悪魔の方がマシ。人間を罰する神は悪魔以下だと思う。この部分がどうしても納得できない作品だった。
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