日常を一瞬で破壊する災害
台湾を直撃した台風21号の影響で、神戸は午後から雨が降り出した。台風は日本列島へ方向を向けたものの、今夜には温帯低気圧に変わるそう。でもその低気圧の影響で明日はかなりの大雨になるとのこと。
台風は恐ろしい。けれどもある程度の進路を予測できることで対応を準備できる。やはり恐ろしいのは地震。スタートしてからギャルたちが画面をにぎやかにしてくれたNKH朝ドラの『おむすび』も、今週になって主人公の結が阪神淡路大震災の体験を語ったことでガラッと雰囲気が変わっている。
1995年1月17日、ボクは京都にいた。それでも地震の強さに本気で恐怖を覚えた。午前9時頃に停電が復旧するまで情報が閉ざされて不安だった。ましてや神戸で被災した人は、突然の地震で平和な日常が破壊されてしまっただろう。今週のドラマは、主人公たちが神戸の震災によって日常を失ったことが描かれている。
今ボクが暮らしている神戸のマンションは震災による建替え物件。住人同士が再建について争ったことで、マンションが新しくなったのは2008年だった。だから震災をこの場所で体験した人が地権者として暮らしておられる。今週の朝ドラはそんな辛い体験を思い出す人が大勢いるだろうと思う。
同じく一瞬で日常を破壊された人の実話をもとに作られた映画を観た。実話だけにその恐怖と苦悩がリアルに描かれていた。そしてラストシーンは感動で涙を止められなかった。
2024年 映画#194
『インポッシブル』(原題」Lo Imposible)という2012年のスペイン映画。2004年12月26日にスマトラ沖でマグネチュード9.1の地震が発生した。その地震による津波が各地を襲い、大勢の死傷者を出している。この映画はプーケットに休暇で来ていた家族の実話を映画化したもの。
マリアとヘンリーの夫婦は、3人の息子を連れてクリスマス休暇をプーケットで過ごしていた。幸せを絵に描いたような家族で、ホテルのプールで休暇を満喫していた。その時、いきなり津波が襲いかかった。
おそらく地震の情報は伝わっていたはず。でも地震のシーンがなかったので、プーケットではさほど揺れなかったのだろう。ところが津波は容赦ない。この映画の冒頭における津波のシーンは壮絶。CGだとわかっていても全身に鳥肌が立つような恐怖を覚えた。
一家5人はあっという間に津波に飲み込まれてしまう。マリアと長男のルーカスは互いに助け合って生き延びた。それが写真の場面。どうにか病院に運ばれたけれど、マリアは怪我による感染と大量の出血で生死の境をさまよっていた。
映画の後半になって夫のヘンリーと二人の息子が無事だったとわかる。この家族5人が再会できるまでが物語のメイン。観客はこの5人が無事に出会えることを願いつつ、津波による物的、そして人的被害の実態を目の当たりにするという構成になっている。
恐ろしいけれど、災害時における人間の愛と思いやりを感じられる素晴らしい作品だった。マリアを演じたナオミ・ワッツ、ヘンリーを演じたユアン・マクレガーの演技は秀逸。でもそれ以上に長男役のルーカスが最高の演技だった。
少年ながらどこかで観た顔だなぁと思っていた。やがてキラリと輝く強い視線ですぐに思い出した。なんと子役時代のトム・ホランドだった〜〜! 今やスパイダーマンとして彼を知らない人はいない。もちろん他の作品でも俳優として彼の才能が認められている。
この映画はトム・ホランドの映画デビューだったそう。彼はこの作品での演技が認められたことで、その後の活躍となった。確かにこの映画でボクを最後まで惹きつけたのは彼の演技だった。恐ろしい話だけれど、最高に見応えのある作品だった。
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