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高羽そらさんインタビュー

人は残虐行為の命令に抵抗できる?

昨日の立冬から晩秋らしい気候になっている。今日は肌寒いので、厚手のシャツで外出した。それでも帰りの坂道では汗をかいたけれどね。やっぱ神戸の登り坂はあなどれない。でも一時的な冬型で、来週には再び季節外れの高温になるらしい。

 

年末の大掃除は順調に消化していて、明日を含めて残りは4回。ミューナの体調を心配しながらの大掃除なのでいつもとは雰囲気が違う。4年前に彼が慢性腎不全を発症した時は大掃除を残り1回で中断した。その時のことを思い出してしまうので、心配を抱えつつも最後まで掃除を終えようと思っている。

 

さて、心理学的にとても興味深い映画を観た。人間が権威ある人物に残虐行為を強いられた場合、その命令に抵抗できるかどうかを観客に問いかけた作品。

 

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2024年 映画#198

『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』(原題:Experimenter)という2015年のアメリカ映画。スタンレー・ミルグラムという実在の社会心理学者を主人公にした伝記映画。このミルグラムを写真のピータ・サースガードが演じている。渋い演技が特徴の素敵な俳優さん。

 

ミルグラムはユダヤ人で、ナチスの非道な行為を身近に体験している。例え命令とはいえ、なぜあれだけの残虐行為をナチスはなし得たのか? そのことを知りたくて、彼は1961年にある実験を行った。その実験から恐ろしい結果が明らかになり、その後の波紋までを描いた素晴らしい作品だった。

 

この実験は様々な本で読んだことがあるので知っていた。それほど有名になった手法だった。簡単に書いておこう。

 

被験者は二人いる。でも一人は研究員でサクラ。つまり調べられているのは一人だけ。「教師」と「生徒」というように役割を分担する。抽選をさせているけれども、被験者は絶対に「教師」になるように仕組まれている。「生徒」役のサクラは、やや太った中年の男性。心臓が悪いとあらかじめ演技している。

 

相手の姿が見えない部屋に「教師」と「生徒」は別れる。音声でつながっていて、「教師」が質問を出す。正解すればいいけれど、間違えたら「教師」は罰を与えなくてはいけない。それは電撃。最も低い電圧は「教師」に本物を経験させておいて、「生徒」が答えを間違えるたびにその電圧が上がっていく。

 

「生徒」はその度に「ぎゃ〜」という声をあげる。実際に電流は流れていないので演技をしているだけ。電圧が上がるごとに「ここから出してくれ!」と叫ぶ。そのうち返答しなくなる。「教師」はもしかしたら心臓発作で死んでいるかもしれないと不安になる。それでも回答がないのは間違いということで、電圧をさらに上げていかなければいけない。

 

被験者はあらかじめ報酬の小切手を受け取っている。立会人は質問を続けるようにと言い続けるだけで、「このまま続けますか?」という「教師」の質問に対しても続けるように言うだけ。だけど「教師」が中断することは止めはしない。

 

1000人近いあらゆる人種や男女を含めて検査をした結果、なんと65パーセントの人が最後の最大電圧まで電撃を「生徒」に与えたとのこと。もちろん実験が終われば種明かしはされる。けれども人によっては心に傷を負うこともあり、この実験が倫理的に問題があると攻撃されることになった。

 

映画タイトルのアイヒマンというのは第二次世界大戦中に数百万人のユダヤ人を収容所に送り込んだナチスの高官。戦後は逃亡していたけれど、見つかって裁判にかけられた。アイヒマンは善良そのものの人物だった。けれども上官に命令されことで抵抗できなかったと答えた。

 

こうした権威に抵抗できない心理状態を、研究者であるミルグラムの名前をとって「ミルグラム効果」と呼ばれている。65パーセントの人間にこのミルグラム効果が見られるということは、普段は愛情深い人でも残虐行為に加担してしまう可能性が高いということ。

 

人間の心の本質に切り込んだ。とても見応えのある作品だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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