感情を抑制してはいけない
今日は曇りの予報だったけれど、お昼前後にかなり雨が降った。傘を持たずに買い物へ行ったので、もう少し遅かったら難儀していただろう。そんな今日の神戸の天気は、ボクの心の状態をそのまま反映しているように思う。
ミューナが起きている時や、彼に声が聞こえる時は普通に振る舞っている。むしろ普段より明るい様子を見せている。でも心の中は不安と悲しみでいっぱい。だから一人になった時や、妻と二人だけでいる時はミューナを思ってボロボロと涙を流している。でもそれでいいと思う。
感情を抑制してはいけない。感情はその人の『今』という瞬間を具現化したもの。だから素直にその感情に向き合っていかないと、心の奥に溜め込むことになってしまう。そうして抑圧した感情はやがてヘドロのようになって心の壁を埋めてしまう。そうなると無意識から浮上する不快な感情に振り回される人生になってしまう。
悲しい時は泣けばいい。腹が立ったら怒ればいい。でもそれは他人に対して攻撃的に表現するのではなく、自分自身で処理していくもの。あるいは親しい家族と分かち合うことで癒していくべきもの。だから妻と二人でミューナを思って泣くのは、とても大切なことだと思う。辛いけれどそうして湧き上がる感情に向き合っていくしかない。
そんな大切な感情を人間から取り去ったらどうなるか? そんなテーマを取り扱った映画を観た。
2024年 映画#203
『ロスト・エモーション』(原題:Equals)という2016年のアメリカ映画。ストーリーはツッコミどころが多く、かつ物語の展開が遅い。そういう意味ではあまり評価が高くない作品かもしれない。ただ人間の感情を扱っていることで、ボクとしては最後まで面白く見ることができた。
世界戦争が起きて地上の99.6%が破壊された世界。生き残った人たちは特定の地域から出ることなく暮らしていた。人類が滅亡寸前にまで陥ったのは、人間の感情が理由だとされた。それゆえ遺伝子操作することで人間から感情が奪われている。
感情がないということは、男女の恋愛も存在しない。出産は適齢期になった女性に受胎命令が出て人工授精で子孫を残す。コンピュータで管理された文明的な世界で、確かに見た目は平和な社会が築かれていた。
ところが感情を復活させる人間がいる。この世界ではそれは危険な病気と認定されていて、ステージの進行によって投薬から隔離、そして収容所に連行されて安楽死という最後が待っている。感情が存在する人間は『異常』だと認定されてしまう。
物語の主人公はニコラス・ホルト演じるサイラスと、クリステン・スチュワート演じるニア。映画の設定から想像できるように、この二人は感情が芽生えてしまい恋に落ちてしまう。当然ながらそれがバレたら重罪として連行される。そこで二人はこの世界を脱出することを決意するという物語。
ボクがこの映画を気に入ったのは、この二人のファンだからかも。SF作品ではなく恋愛映画として観ることでこの映画の良さがわかるような気がする。感情がある人間を異常者扱いすることで、かえって無感情の人間の違和感が浮き彫りにされるという構成。なかなか素敵な作品だった。
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