鬼と化す人の怨みの深さ
神戸の紅葉も色褪せて、すっかり冬の気候になってきた。太平洋側なので晴天だけれど、空気はかなり冷たい。このままクリスマス頃までは冬らしい気温が続くそう。この寒いなかで大掃除をやっている人は大変だろうなぁ。ボクはそれが嫌なので秋に大掃除を済ませている。
毎朝真っ暗な時間に起きて、少しずつ東の空が明るくなるのを見ながら朝食をとっている。冬至まで10日足らずとなったので日の出時間は遅くなり、太陽が姿を見せる方向も夏に比べてかなり南へ移動した。でも冬至を過ぎれば、また天のサイクルが変化する。今年の年末はいろいろ大変だったから、冬至は気持ちを切り替えるいい機会かもしれないなぁ。
さて、すっかりハマっている安倍晴明。シリーズ3冊目に突入して、ますます彼のファンになってしまった。
2024年 読書#106
『陰陽師 付喪神ノ巻』夢枕獏 著という小説。今回も短編集という構成になっていて、以下のようなタイトル作品で構成されていた。
『瓜仙人』
『鉄輪』
『這う鬼』
『迷神』
『ものや思ふと……』
『打臥の巫女』
『血吸い女房』
安倍晴明と源博雅のコンビはますます息が合っていて、どちらが欠けても怪奇事件が解決しない展開になりつつある。キャラが異なる二人だけれど、それゆえに互いがかけがえのない存在であることを感じられる。著者の人物設定がうまく機能しているから、このシリーズが大勢の人に読まれたんだと思う。
詳細なストーリーは割愛するけれど、今回は人間が怨みゆえに鬼と化す事例が多かった。特に『鉄輪』という作品では、人間だった女性に角が生えて鬼に変化していく様子が描かれていた。「口惜しい」と嘆きながら鬼と化していくその女性の様子に、フィクションだと思いつつも鳥肌が立った。
この作品を読んでいると、人間の心をネガティブなエネルギーで激しく揺さぶるのが怨みや後悔であることを実感できる。言い換えれば『執着』というものだろう。魔物が実在すると信じられていた平安時代だけに、妖や鬼に関する物語が語り継がれてきたのだと思う。
少しだけ面白かったのは『血吸い女房』という吸血鬼の物語。ドラキュラを思い出すけれど、女房に取り憑いていたのは妖怪化した「ヒル」だったというオチ。まぁヒルなら血を吸うよね。
ちなみに今年の大河ドラマで主人公の一人である藤原道長は、この3冊目では2歳の子供。だから紫式部もまだ生まれていない。でも大河ドラマと重ねながら読んでいると、この物語の世界観をリアルに感じられる。ますます続きが楽しみになってきた。
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