戦いたいのに戦えない兵士
天気予報通りに寒波がやってきた。神戸の今朝の気温は4度くらいで、夕方になっても同じ。そして日付が変わる頃には0度になり、明日の朝は氷点下2度の予想になっている。この冬一番の冬将軍がやってきたね。
今日の午前中に外出したとき、六甲山はうっすらと雪化粧をしていた。今日の気温でも日中は雪が舞っていたから、明日になるともっと降るかもしれない。明日は自宅にいる予定なので、部屋の中から雪をながめて過ごそう。
さて、少し不思議な戦争映画を観た。体験者の手記が原作なので、ある意味ノンフィクション的な作品。でも戦争映画独特の命をかけた戦闘シーンがない珍しい作品だった。
2024年 映画l#4
『ジャーヘッド』(原題:Jarhead)という2005年のアメリカ映画。アンソニー・スウォフォードという海兵隊員が湾岸戦争の体験を書いている。この作品はその体験を映画化したもの。これがなかなか面白かった。
映画はアンソニーが海兵隊に入隊するところから始まり、STAという偵察狙撃部隊に配属される。戦地では最前線に立つという精鋭部隊。映画の前半はアンソニーが軍隊生活で苦労する様子が描かれていて、やがて優秀な狙撃兵として湾岸戦争の戦地へと派遣される。
このアンソニーを写真のジェイク・ジレンホールが演じ、アンソニーの相棒となるアランをピーター・サースガードが演じている。この二人のやり取りが最高で、出会いの確執から親友となるまでの過程が面白かった。
ちなみにこの映画の公開時期、ピーター・サースガードはマギー・ジレンホールと結婚している。マギーはジェイクの姉なので、この映画で共演している二人は義兄弟ということ。そう思ってみるとかえって面白い。
戦地に行くものの、待機状態が続き砂漠での訓練ばかりが続く。湾岸戦争を覚えているボクのような世代なら、戦闘機による爆撃が攻撃の中心だったことを知っているはず。だから陸上軍が動く場面が過去の戦争に比べて少なかった。
それでも戦地にいることで緊張は続いている。なのに退屈な訓練ばかりで兵士たちはこの生活にうんざりしている。狙撃の才能があるアンソニーはその能力を実戦で試したくて仕方ない。なのに戦地では辛い訓練と不自由な生活が続き。アメリカにいる恋人は他の男性を好きになってしまう。
実際にそうした例が多数あったようで、裏切った恋人や妻の写真を貼り付ける掲示板のようなものがあった。これも実体験した人物の手記を映画化しているので、おそらく本当にあったことなのだろう。
ようやく出撃命令が出た。それで戦地に向かう。そしてアンソニーとアランに敵軍の将校を狙撃するという命令が出た。慎重に相手の基地にへ近づき、照準も合わせた。確実に射殺できる。そして上官からの命令も出た。
ところがその場に、別の部隊が介入してくる。一人二人の将校を殺しても意味がない。そう言ってアンソニーたちを追い出し、結局は空爆でその基地を全滅させた。失意のまま基地に戻った二人を待っていたのは、戦争終結のパーティーだった。
結局、たった一人の敵兵さえ殺すことなくアンソニーたちの湾岸戦争は終わる。なんとも皮肉な作品で、湾岸戦争にこうした部隊が存在したことを知らなかったので勉強になった。戦争というのは敵兵を殺すことがなくても、やはり失うものが多いという内容だった。
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