思い出した心霊体験
天気はいいものの、風が強くて肌寒い今日の神戸。でも太陽の光が気持ちよかったので、午前中は妻と散歩をした。今年は引っ越しを考えていて、気になる物件がある地域周辺を歩いてきた。神戸市灘区に引っ越して17年目に入っているけれど、まだまだ知らない道があるので楽しかった。
引っ越しに関して以前のブログに書いたように「地縁」はとても大切。ただそうした縁のある場所でも、実際に行かないとわからないことがある。理由はわからないけれど心地良さを感じたり、反対に言い知れない違和感を覚える場所がある。この感覚はとても大切だと思う。
ある小説を読んで、ボクが30代の頃に感じた強烈な違和感を思い出した。あれはある種の心霊体験だったと思う。
2025年 読書#3
『陰陽師 龍笛の巻』夢枕獏 著という小説。昨年暮れから『陰陽師』シリーズの小説を追いかけている。今回の作品も短編集で以下のようなタイトルの物語が収録されていた。
『怪蛇』
『首』
『むしめづる姫』
『叫ぶ声の』
『飛仙』
という5作品。相変わらず怖くて不思議な物語ばかり。いつものように安倍晴明と源博雅のチームによってトラブルが解決された。この中で最も怖かったのが『首』という作品。
複数の盗賊が逮捕された。与えられた刑罰は死罪。ところが簡単に殺されることなく、鴨川の河川敷に首だけ出して埋めれらた。当然ながら喉は渇くし飢えてしまう。そのまま餓死させられてから首を刎ねられた。そしてその首が京都の船岡山に埋葬された。
その首塚の幽霊がある貴族に祟り、2人の命を奪ってしまった。それを安倍晴明が解決するという物語。その首の幽霊が「ひもじや、ひもじや」と泣きながら襲いかかってくるのは本当に怖かった。
この船岡山は京都市北区紫野にある小高い丘のようなところ。現在は船岡山公園となっていて、その敷地内に織田信長を祭神とする建勲神社がある。ボクは30代の初めに学習塾の飛び込み営業をしていたことがある。一日中歩き回って塾に通う子供を集める仕事。
このあたりの地域を回っていた時、あまりに疲れてこの船岡山公園で休憩していたことがある。最初は昼間だったけれど、そのうちサボりぐせがついて、夕暮れになってもここでサボっていた。そんなある日、日が暮れたばかりの公園で全身に鳥肌が立つような違和感を覚えた。
明らかに良くない霊がいる雰囲気。なんとなく警戒はしていた。なぜなら1984年にこの公園で悲惨な事件が起きているから。警察官が同じ警察官をここで刺し殺し、銃を奪って大阪で強盗をしたという事件。その事件は知っていたけれど、昼間に行った時は大丈夫だと感じていた。
でも夕暮れの船岡山公園の空気は異常だった。実際に幽霊を見たわけじゃないけれど、「すぐに立ち去れ!」という心の声が聞こえて激走して山を降りた経験がある。この『首』という小説を読んでその時の恐怖体験を思い出した。
少し調べてみると、この小説の少しあとの時代に起きた保元の乱で船岡山は処刑場だったそう。だから安倍晴明がいた時代にもそのようなことがあったのかも。さらに応仁の乱でも船岡山で激しい合戦があったらしい。懐かしいことを思い出すきっかけになった小説だった。
ブログの更新はFacebookページとX、並びにThreadsとmixi2で告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする