夢日記のような短編集
昨年の暮れから久しぶりに本気で夢日記をつけている。とりあえずスタートしてから1日も欠かさず書いている。ボクの場合は眠りについても必ず90分で目が覚める。その度に必ず夢を見ているから、一晩で3〜4つの夢を記録することになる。
時間のある時にその日記を読み返していると、あまりにぶっ飛んだ内容なので失笑せざるを得ない。夢の世界は時間も人の死も関係ない。亡くなった人と会話しても変だと思わないし、いきなり場面転換しても普通に対応している。そのうえそれが明晰夢になってしまうと、ちょっとした遊び心でその世界がファンタジー化してしまう。
でもそうした夢のエッセンスを抽出して見ていると、ボクの潜在意識が抱えている課題や恐れが見えてくる。日常生活で意識しているものがあれば、潜在意識から引っ張り出されたようなものもある。おそらく過去生に関わることもあるはず。夢日記を続けていると、この先の人生で自分が取り組むべきことが見えてくるような気がする。
さて、そんな夢日記のようなぶっ飛んだ小説が集められた短編集を読んだ。
2025年 読書#4
『夏の雷鳴 わるい夢たちのバザールII』スティーブン・キング著という小説。少し前に『マイル81 わるい夢たちのバザールI』という小説の感想を紹介した。今回の小説は同じシリーズで、本来は1冊で発行されたものが日本では分冊されている。
タイトルでわかるように、本当に夢のようなぶっ飛んだ物語ばかり。もしかしたらボクの夢も同じように短編化できるかもね。
『ハーマン・ウォークはいまだ健在』
『具合が悪い』
「鉄壁ビリー』
『ミスター・ヤミー』
『トミー』
『苦悶の小さな緑色の神』
『異世界バス』
『死亡記事』
『酔いどれ花火』
『夏の雷鳴』
以上の10作品が収録されている。過去のスティーブン・キングの著作に比べたら、おどろおどろしい雰囲気の作品は少ない。日常生活に寄り添った物語が多い。でもそれだけに、いい知れない怖さや不気味さが残る作品たち。まさに夢の世界だと思う。
『具合が悪い』という作品は、妻が病死しているのにそれを認めない夫の物語。死体が腐敗して匂いが充満しているのに、同じマンションの住人や職場の人たちに対して、妻が体調を崩して眠っていると言い張る物語。
『鉄壁ビリー』は著者が好きな大リーグもの。キャッチャーの不在で困っていたチーム。そこへマイナーリーグからビリーという選手が入団する。とりあえずその場しのぎで使われるが、やがてチームを優勝争いに導く活躍をする。新人王が確実だと思われた。ところがビリーは同じ名前の選手のなりすましで、本当のビリー一家を殺していたという結末。
『死亡記事』も怖い。あるネットサイトで、面白おかしく死亡記事を書いていた主人公。ところが給料をケチられたことで生きている編集長の死亡記事をパソコンで書いて憂さ晴らしをしていた。ところがその編集長は本当に死んでしまう。やがて彼が生きている人間の死亡記事を書くと、その人間が死ぬことがわかったという内容。
そしてタイトルとなった『夏の雷鳴』は、核戦争で滅んでいく人類の生き残りの物語。なんとも言えない切ない物語だった。
相変わらずスティーブン・キングの小説は不思議で面白い。このシリーズが面白いのは、著者がその作品を書くことになった経緯を自ら説明しているところ。きっと彼の夢もそこにはあるような気がする。
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