原作で泣き、映画でさらに泣いた
今日の神戸は久しぶりに本降りの雨。買い物に出かけて、傘を手放せなかったのは久しぶり。そのうえ真冬の気温でかつ台風かと思うような強風。さすがに買い物から戻ってくるとヘトヘトに疲れた。
でも神戸がある太平洋側の冬はあまり雨が降らない。これから春になって花を咲かせる準備をしている木々にとっては、ここ数日の天気は恵の雨だったのかもしれないね。寒の戻りは金曜日くらいまでらしいから、来週になると一気に春めいてくるだろう。
さて、昨日のブログで感動したタイムトラベル小説を紹介した。さっそくその映画化作品を観た。原作より映画の方が良かった作品は久しぶりな気がする。
2025年 映画#36
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』という2023年の日本映画。映画のストーリーは基本的に原作と同じ。現代の女性が昭和20年にタイムトリップしてしまい、特攻隊の青年と恋に落ちてしまうという物語。
もちろん二人の恋が成就することなく、青年は戦闘機に乗ってアメリカの戦艦に激突してしまう。ただ昨日の原作でも書いたように、時空を超えた手紙が主人公の加納百合に届いたシーンで号泣した。現代に戻ってから百合が「特攻資料館」に展示されていた百合あての手紙を読んだから。
でも映画ではさらなる仕掛けがほどこされていた。まず百合の年齢。原作では14歳の中学校2年生だった。でも映画では進路に悩む高校3年生の18歳という設定。これだけで映画の内容が一気にグレードアップする。
特攻兵である佐久間彰の年齢を考えると中学生との恋愛は不自然。18歳なら彰と3歳差なので恋愛対象として違和感がない。さらに特攻兵には百合と同じ18歳の板倉という人物がいる。主人公と同年齢ということで、自爆死してしまう特攻兵の苦悩が百合にとって切実なものとなるから。
もちろん映画が良かったのは出演している俳優たちの演技が素晴らしかったから。百合を演じた福原遥さんは本当に素敵だった。原作のような不良っぽいキャラでない方が彼女の雰囲気によく合うと思う。そして特攻兵を演じた俳優さんたちの迫真の演技に涙を止められなかった。
さらにこの映画を輝かせたのはツル役の松坂慶子さん。実在のモデルがある食堂の経営者で、この物語のキーポイントになる役どころ。この役を松坂さんが演じたことでこの映画の成功は約束されていたと思う。
ラストシーンで百合が彰の手紙を読むシーンはやっぱり涙を止められなかった。でもそれに負けず劣らず感動したのは、死ぬのが嫌で許嫁のために兵舎を脱走した板倉のその後が描かれていたこと。
脱走兵だけれど病気で除隊したことになっていて、妻と高齢になるまで幸せに暮らしたことが「特攻資料館」に展示されていた。これは原作にはなかった場面なので、このシーンだけでも得した気分になった。
いやぁ、本当にいい映画だったなぁ。反戦映画というだけではなく、ラブストーリーとしても素晴らしい作品だと思う。
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